87: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2022/12/19(月) 12:03:05.67 ID:c3b0uZJF0
ツバサ「……その称号と一緒に渡されるポケモンを持っているってことは、貴方はその称号を持った幹部だったってこと?」
彼方「えっと……確かに彼方ちゃんは実行部隊で2番目に強いトレーナーだったから、副リーダーみたいな扱いで……一瞬だけ称号階級を持ってたタイミングはあったんだけど……もともとは違う人が持ってたんだ……」
英玲奈「……もともとは違う? 君は実行部隊で2番目に強いトレーナーだったのだろう? それだったら、最初からその階級称号を持っていたんじゃないのか?」
彼方「階級称号は実行部隊のトップ2に贈られるものじゃなくて……組織全体で見て戦闘の実力がトップの二人に贈られるものなの」
ルビィ「えっと……どういうこと……? 実行部隊のトップ2はバトルのトップ2じゃないの……?」
花丸「……そっか、研究者の中に実行部隊よりもバトルが強い人がいたんだ」
彼方「うん、そういうこと」
曜「あーなるほど……」
彼方「……果林ちゃんは“MOON”の称号を持ってた実行部隊のトップの人で、“SUN”は……科学者でありながら、戦闘で果林ちゃんに匹敵する実力を持ってた愛ちゃんだったんだ。それでこの子は、もともと愛ちゃんが持ってたコスモッグなんだけど……理由があって愛ちゃんの手を離れたときに、わたしが組織から持ち出したポケモンなんだ。……この子を持ち出せば、一時的にでも計画を止めることが出来るから」
花陽「一時的に計画を止める……?」
彼方「このポケモン──コスモウムは……もともとはコスモッグっていうポケモンが休眠状態になった姿なの。コスモッグは大量のエネルギーを体に蓄えていて……そのエネルギーはウルトラスペースを自由に航行出来るほどだった。……だけど逆に言うなら、コスモッグがいなくなってウルトラスペースを自由に行き来出来なくなったら、計画は頓挫する。だから、彼方ちゃんは遥ちゃんと一緒に、コスモッグを連れ出して、組織から逃げて来たの」
穂乃果「あれ……? でも、コスモッグは“SUN”と“MOON”に渡されてたんだよね……? なら、2匹いたんじゃ……」
彼方「うん。彼方ちゃんたちも最初は2匹とも連れ出せればとは思ったんだけど……1匹は果林ちゃんが普段から持ち歩いてたから、連れ出すのはとてもじゃないけど、無理だった」
にこ「そういうのって片方残ってたら意味ないんじゃないの……?」
彼方「コスモッグは一度にエネルギーを吸いつくしちゃうと、休眠して二度とエネルギーを出せなくなっちゃうから……2匹のコスモッグから交互にエネルギーを貰ってたの。だから、1匹減るだけで計画の効率はすごく下がるんだ」
海未「果林のコスモッグは無理だったのに、愛のコスモッグは連れ出せたということですか? 愛も貴方より強かったのでは……?」
彼方「彼方ちゃんたちが脱出するとき……愛ちゃんは“SUN”の称号階級を剥奪されてて、繰り上がりで私が貰うことになってたんだ……だから、わたしがコスモッグを連れ出せたんだよ」
海未「階級の……剥奪……? 何故……?」
彼方「あるとき、愛ちゃんが……組織の施設を破壊して回ったから……」
かすみ「……?? なんか、全然意味わかんないんですけど……」
確かに随分唐突な話な気がする。
花丸「もしかして……愛さんも、彼方さんみたいに組織のやり方に反対してたってこと?」
彼方「愛ちゃんがどうしてそんなことしたのか、詳しい理由はわからないんだけど……組織のやり方に反対してたって噂はずっとあったんだ。それに……」
鞠莉「それに?」
彼方「愛ちゃんが、施設を破壊する直前……大きな事故があったんだ」
ことり「事故……?」
彼方「さっきも言ったけど……この組織は二人の天才科学者を端にして作られたんだけど……一人はもちろん愛ちゃんのこと、そして──もう一人は愛ちゃんの一番大切な人だった」
海未「……まさか、その事故というのは」
彼方「……うん。そのもう一人の研究者が……ウルトラスペース調査中に……亡くなったんだ。その子の名前は──」
彼方さんは急に、私の方──いや、私の傍に居るリナちゃんに視線を向ける。
彼方「──テンノウジ・璃奈」
リナ『……!?』 || ? ᆷ ! ||
侑「え……!?」
私は驚いて思わず声をあげる。
彼方「……記憶が戻ってから、ずっと気になってたんだ……。リナちゃんは……わたしの知ってる璃奈ちゃんなの……? 名前もだけど……喋り方とか……そっくりなんだ……」
リナ『…………』 || ╹ᇫ╹ ||
侑「リナちゃん……そうなの……?」
リナ『……ごめんなさい、わからない……』 || ╹ᇫ╹ ||
侑「わからない……?」
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