674: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2023/01/08(日) 12:38:25.57 ID:5MWtUFJH0
おじさんがすごんできて、身体が強張る。
何も考えずに飛び込んできてしまったのを少し後悔する。
だけど……怪我したベベノムをほっとくわけにいかないし……。
なんて言葉を返せばいいのかわからず慌てる私に、
愛「ちょっとちょっと、大の大人がこんなちっちゃいポケモンに寄ってたかって何してんのさ……」
愛さんが人だかりを掻き分けながら、助け舟を出してくれる。
男性2「こいつはな、ここらで食料泥棒を働いてたんだよ」
愛「ベベノムが? わざわざ?」
璃奈「ベベノムは知性の高いポケモン……理由もなくそんなことしない」
「ベベノ…」
わざわざ人のテリトリーに侵入して、そんなリスクを冒すとは到底思えない。
男性3「だったら許せとでも? 貴重な食料を奪われてるんだぞ……!」
愛「わかった。じゃあ、この子アタシたちが引き取るからさ。それで大目に見てくんないかな?」
璃奈「愛さん……」
男性1「なんで見ず知らずの嬢ちゃんたちが、そんなこと勝手に決めるんだ?」
愛「どっちにしろ、捕まえたところで持て余すでしょ? それとも、紐にでも繋いで餓死でもさせる? そんなことしても、後味悪いでしょ」
男性2「それは……」
愛「食料奪われたのが気に食わないってんなら……盗られた分の代金払ってあげるからさ。……これで足りる?」
そう言いながら、愛さんはポケットから取り出した硬貨を男性に手渡す。
男性1「あ、ああ……これだけあれば足りるが……」
愛「んじゃ、これで手打ちにしてよ。野生のポケモンを寄ってたかってイジメてたなんてのがバレて、警備隊に目付けられるのも嫌っしょ?」
男性1「わ、わかったよ……。……行こう……」
男性2「あ、ああ……」
とりあえず、溜飲は下がったのか男性たちは去っていった。
いなくなったのを確認してから、
愛「りなりー、平気?」
愛さんがそう言って、私に手を差し伸べてくる。
璃奈「愛さん……」
ベベノムを抱えたまま、その手を取って立ち上がりながらお礼を言う。
璃奈「……私一人じゃ、どうすればいいかわからなかった……ありがとう……」
愛「うぅん。……貴重なお金、勝手に払っちゃってごめんね」
璃奈「大丈夫。むしろ、あれがベストだった」
無用な争いになるよりもずっといい。
それはそれとして……今は、
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