291: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2022/11/11(金) 16:10:41.34 ID:xkYIlSIn0
しずく「……それにしても、あのスボミーどうしてあんなに怒ってたんだろう」
かすみ「たまたま狂暴な子なんじゃないの……? ……くしゅっ!」
しずく「まあ、そうなのかもしれないけど……」
そういう性格だと言われればそれまでだけど……スボミーというポケモンは本来大人しく、戦いを好まない。
もちろん外敵から襲われれば、毒の花粉で応戦はするだろうけど、基本的には群れを作って暖かい日差しを求めながら、のんびりと生活する生態のはずだ。
私は今まで結構な数の野生のスボミーを見たことがあるつもりだけど……あんなに好戦的──しかも、自分から人に襲い掛かってくるようなスボミーを見たのは初めてだ。
かすみ「そういえば、よく現れるって言ってましたけど、普段はどうしてるんですか……? やっぱり、追っ払ってる?」
女の子「うん……。ただ、普段はジムリーダーの凛さんが対応してたんだけど……今は不在で」
しずく「ジムリーダーが直々にですか……?」
いくら狂暴な野生ポケモンとはいえ、相手はスボミーだ。
地方でもトップクラスの実力者が、直々に対応するほどのことなんだろうか?
……いや、それ以前に、
かすみ「えー? この町のジムリーダーはスボミー1匹やっつけるのに何週間も掛かっちゃってるんですかぁ……?」
かすみさんも、私と同様の疑問を抱いたようだった。
そう、ジムリーダークラスの人間がスボミー1匹を無力化出来ないとは考えづらい話なのだ。
女の子「えっとね……凛さんはあくまで穏便に済ませたいみたいで……」
しずく「穏便に……とは?」
女の子「凛さんは自然保護派だから、出来れば野生のポケモンは自然に還してあげたいって考えみたいなの……」
確かにホシゾラシティのジムリーダーであるところの凛さんは、自然を愛するジムリーダーというのは有名な話だ。
この町の北に位置する流星山の頂上にあるホシゾラ天文台の所長を務める傍ら、普段は流星山やホシゾラシティ近郊の自然保護活動にも従事していると聞いたことがある。
女の子「この町は昔から自然に囲まれているし、町の人たちもそんなこの町で育ったから、凛さんの考えに賛同する人は多いんだけど……中には、早く捕獲するなり、討伐するなりしようとする人も居て……」
かすみ「討伐って……随分物騒な物言いですね」
しずく「うーん……」
まあ、どちらの意見もわかる話ではある。
野生のポケモンとはいえ、むやみやたらと傷つけるものではないというのは概ね同意出来る。
だけど、実害が出ているとなると、わかりやすく排除してしまった方がいいと考える人がいるのも道理だ。
ただ、少し疑問がある。
しずく「あの……ジムリーダーは具体的にどういった対応をされていたんですか?」
女の子「えっと、毎回コメコの森に逃がしてあげてるみたいだよ」
しずく「……? ということは、あのスボミーは森に逃がしたのに、またわざわざこの町に戻ってきているということですか……?」
私は思わず眉を顰めてしまう。普通、野生のポケモンは町の中には現れない。
何故なら、野生のポケモンからしたら、人間の存在は十分に脅威足りうるからだ。
だから、一部の例外を除けば、野生のポケモンは森、海、山や洞窟と言った人の居住していない場所に生息している。
凛さんもそれがわかっているから、コメコの森──本来のスボミーの生息地に還してあげているんだろうけど……スボミーは何故か、町にまた戻ってきてしまう。
どうにも腑に落ちない。眉根を顰めたまま、何か理由があるのか考えていると──
「──そっちに行ったぞー!!」
1002Res/2130.98 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20