227: ◆3U.uIqIZZE[sage]
2022/09/22(木) 00:16:47.84 ID:l3Wpp4NBO
連休二日目は各々が思い思いに休日を過ごし、連休三日目。
いろはは、みふゆと共に二木市へ入り、結菜の家の居間にいた。
結菜は、二人の来訪前日に概要を聞いて、事前に人払いを済ませていた。
エミリー休憩所での会合と同じく、いろはが主催、みふゆが副主催となり、
公営霊園増設の理由を伝えた。
元・みかづき荘メンバーの墓参り、事前に許可を得た”霧峰村の負の歴史”の
話も伝えると、結菜は顔を俯かせて沈黙を保ち、やがて顔を上げた。
「……カタコンペは、いずれ何とかしなければならなかった。これを契機に着手し、あなたたちに協力するわ」
「結菜さん…!」
「でも、私一人で何とかするのは無理。今のところ、霊園を増設する計画は街にないのよ。霊園増設には
相応の理由が必要。それがないことには、街を動かせないし、お父様にも話せないわぁ」
「二木市にも水徳寺があれば、何とかなりそうですけどね」
「そう簡単にいかないわぁ。この街にはこの街の寺がある。時女一族みたいに、地域全体で魔法少女の
存在を知っていて、協力的なところがあれば……」
「魔法少女の存在を知っている一般の方って、二木市ではどれくらいいますか?」
「皆無ねぇ。そう言い切れるのは、現状を踏まえてのことよぉ」
「どういことですか?」
「……今更、あまり言いたくないけど、二木市では以前、魔女枯渇問題から、
魔法少女同士で殺し合いがあったの。相手の魔女化を誘発させて魔女にし、
討伐してグリーフシードを奪っていたことがある。……大勢を殺し、殺された」
「…………」
「…………」
「それによって、十代の女性の失踪事件が、どれだけ多かったかは想像がつくでしょう。
大事件もいいところなのに、大事に至る前に事件は、あっという間に沈静化してしまったわぁ。
憤ったものだけど、これも宇宙の意思の介入でしょうね」
「……宇宙の意思は、どこにいっても付き纏いますね」
「私たちは、神浜ほど理性的ではなかった。武力とその場しのぎで血を流してきた。
精神を日々すり減らし、神浜を敵とみなすことでようやく一つになったの。それくらい、
この街は抗争の歴史が長いのよ。その間に死んだ魔法少女の総数は……」
「そのことは本当に」
「……ごめんなさい。話し出すと、止まらなくなってしまう。ともかく、折り合いはもうつけた。
……それで、何の話をしてたっけ……あぁ、そうだ、魔法少女を知る一般人よね」
「…………」
「…………」
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