タイトルを書くと誰かがストーリーを書いてくれるスレ part8
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571:名無しNIPPER[saga]
2024/07/06(土) 00:00:02.46 ID:N5cCTXJ20
>>568 「仮想圏の女」

 バカでかい引き違い戸が僕の部屋の東側にあって、そこからは駅から登ってくる坂道を見おろすことができる。商店街のある通りとは違うが、両脇にはアパートが何棟も何棟も連なっていて、時間帯によってはまったく人通りの絶えないときがあった。
 僕はいつも7時35分に目を醒ます。働いていたとき、かならずその時間に起床していたので、その癖がいまだに抜けないのだ。そしてうがいをして顔を洗い、しっかり香りを立たせた紅茶を淹れ、少しの牛乳を注いで飲む。このときハムエッグを焼くと、ちょうどいい具合に茶葉を抽出できたくらいにみごとにカリカリにできあがる。それにミニトマトやニンジン、あるいはレタスなどを添え、パンとヨーグルトを用意すれば朝食の完成だ。気分によっては、スープをつけてもいいだろう。僕はこれを毎朝かならず用意している。そして目玉焼きのカリカリになった白身をサクサクと咀嚼し、バリパリのレタスで黄身を包んで食べるのだ。ここで噛まれて鳴るシャキシャキとした感触で僕は完全に目を醒ます。最後にミルクティーを飲み干し、ヨーグルトを完食すれば、また今日も彼女と僕にうってつけの日だ、と確信する。
 僕が朝食を食べ終えるのはいつも8時15分前後のことだが、彼女が朝この坂道を下っていく時間帯は必ずしも一定ではない。8時20分のときもあれば8時30分をまわることもあるし、あるいは8時50分になる直前にあわてて降りていく姿も見たことがある。だがいずれにしたって、髪のセットの丁寧さあたりに差はあれど、朝焼けみたいに淑やかに光るナチュラルな色合いの茶髪は変らないし、すっきり無駄のない頬と、そのすぐ上にある、洞穴に差しこむ一条の光のような睫毛、陶磁器みたいに澄んだ瞳はいつだって僕の目を引きよせてしまう。若干の遠目にうつるときには、服越しでもわかる脚線美と、すばらしくバランスの取れたくびれにかたちのよさが明白な乳房に夢中なのだが、だんだん距離がつまり、顔が見えるようになってくると、それまで見ていた身体を忘れて、その整った顔以外見えなくなる。飴のようにぷっくら艶のある唇に、僕は吸い込まれそうになる。
以下略 AAS



572:名無しNIPPER[sage]
2024/07/06(土) 00:56:41.18 ID:o4E8/7tDO
>>568 「下層圏の女」

「人」として「下層」と言う話なのか?「居住区域」が単に「下層にある」だけの話なのか?

とした些細な疑問の始まりからこの話は次第に流転していく…
以下略 AAS



573:名無しNIPPER[saga]
2024/07/06(土) 12:12:09.77 ID:SIir4BGTO
タイトル「THE FURIKOME SAGI」


574:名無しNIPPER[saga]
2024/07/06(土) 14:34:08.38 ID:N5cCTXJ20
>>569「診察薄幸」

「つまんないみたいですね」
 白髪が汚く混じった、眼鏡の茶釜みたいな医者が、手元のカルテに何かを片手で記入しながら言った。左手は白衣のポケットにしまったままだ。
「ええ、ほんとに」
以下略 AAS



575:名無しNIPPER[sage]
2024/07/07(日) 06:56:22.75 ID:ySnHyT7i0
タイトル「暗殺餅(あんころもち)」


576:名無しNIPPER[saga]
2024/07/08(月) 00:12:31.71 ID:UdB39gfM0
>>528「溶解ウォッチ」

 叔母が小包をくれた。とにかく開けてみんしゃい、とせかすので包みを解くと、なかには時計があった。
銀色に輝く、ピカピカの新しい腕時計。少し重いが、文字盤には精密に螺鈿細工のような加工がされていた。
後ろでせんべいを食べていた父がいいじゃないか、と言った。トイレから戻ってきた母も時計を誉めた。
以下略 AAS



577:名無しNIPPER[sage]
2024/07/08(月) 19:25:06.01 ID:LwxcIrKDO
>>573 「THE FURIKOME SAGI」

ごく一部でマイナーながら話題性を集めた前作の「THE ORE・ORE SAGI」劇場版にまさかの続編がw
打(ぶ)つ、差す(指す)、振り込むなどは将棋や麻雀でも使われる言葉である事にかこつけた
駄洒落的展開込みで描かれる、基本バラエティ色が豊かなコメディー調な作品ではあるものの麻雀、賭博の辺りの話が
以下略 AAS



578:名無しNIPPER[saga]
2024/07/08(月) 20:27:23.23 ID:UdB39gfM0
>>11「グリーン・マイケル」

 膝くらいの高さの草むらのなかを、マイケルは駆ける、駆ける、なだらかに傾斜する、どこまでも同じような青さがつづく草原を走り抜ける。
とうにヘルメットは捨てた。通信機器も、役に立たないし邪魔だから手放した。
護身用の武器も、ナイフを除いてすでに彼の手元にはない。
以下略 AAS



579:名無しNIPPER[saga]
2024/07/08(月) 21:47:47.99 ID:/lzv0B42O
タイトル「振り込むな詐欺」


580:名無しNIPPER[saga]
2024/07/10(水) 00:21:05.24 ID:23PJPhpF0
>>26「Eye love you」

 外を歩いているあいだかぶっていた白い柔らかなキャペリンハットを、きみはもう脱いでしまった。
そのせいで、それまでつばが隠してくれていた睫毛、瞳、まなじりが露わになった。
おれはそれを見るのがつらいんだ。だからいまこうして対面に座っているのも、相当我慢してるんだぜ。
以下略 AAS



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