27: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2022/06/06(月) 00:58:36.12 ID:Sev9O2YP0
耳を劈く蝉の声。辺りに突き刺さる真夏の日光。
外に出て数分で後悔していた。
何も楽しくなんてない。暑い。暑い。
辛い、うるさい、苦しい、だるい、しんどい。
気持ち悪い、気持ち悪い、気持ち悪い。
リア充は本当にこの災害のような季節が好きなのだろうか。
ふと、思った。「自分はどちらでもなくなってしまったのかもしれない」と。
『どちらでも』とは何だ?
リア充と、何だ?
もう帰ってしまおうかと思ったが、ここで帰ってしまっては本当にその『どちらでもない』者になってしまう。
そう思い、家とは逆の方へ、ひたすらに歩いた。
だんだんと、見覚えのない道へと入り込んでいく。
暑さで判断力が低下しているのか、体力も、迷子になる事も考えずにひたすらに歩いていく。
額から汗が垂れる。シャツが体に張り付く。気持ち悪い。
頭が痛い。暑い。気持ち悪い。
蝉が鳴く。耳のすぐそばにいるかのような大音量で、ところかまわず喚き散らかす。
気持ち悪い。
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