姉がアイドルということ
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6: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2022/05/10(火) 13:42:35.54 ID:nm7zvJuf0
「高山君は……」
「え? 僕?」
「高山君は……お姉さんが、好き?」
 この場合の好きというのは、もちろん男女の好きの意味ではないだろう。
 あくまで姉として好きか、という意味だと思う。
「姉ちゃんは……あ、いや姉さんは……」
「姉ちゃんでいいよ?」
 徳田さんは笑った。
「家ではそう呼んでるんでしょ?」
「まあ……うん。姉ちゃんは、いい姉だよ。ちょっと見ていて辛いこともあるけど」
「辛い?」
 正直に話しすぎたかな、そう思わないではなかったが、今更なかったことにはできない。
「姉ちゃんさ、いつも無理してるから」
「……そうなんだ」
「ごめん、なんか変なこと話しちゃって」
 徳田さんは微笑んだ。
「ううん。聞きたかったこと、聞けたよ」
「でも、幻滅したんじゃない?」
「幻滅?」
 小首をかしげる徳田さんは、やはり可愛い。
「ファンとしてはさ、アイドルってなにもしてなくてもキラキラしてて欲しいんじゃないの?」
「……そんな簡単じゃないよ、アイドルって」
「え?」
「あ、そ、そうらしいんだよね。うん」
 少し慌てたように、徳田さんは言った。
「姉ちゃんもきっと喜ぶよ」
「え?」
「ファンの娘にそんな風に言ってもらえて、さ」
「ふぁ、ファン……?」
「ファンなんでしょ? 姉ちゃんの?」
 2人の間に、沈黙が流れる。
 あれ?
「だから僕に話を……でしょ?」
「あ! あー……あーあー、そ、そう……なんだよ。私、高山紗代子の大ファンで」
「やっぱり!」
 笑い合う2人だったがなぜか徳田さんの笑いは、少し乾いていた。


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