姉がアイドルということ
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31: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2022/05/10(火) 14:01:08.08 ID:nm7zvJuf0

「姫のファンの子なのでしたか。サインはお安いご用なのです」
 一同は場をリビングに移していた。
 改めて紗代子はお茶の用意をし、まつり姫はニコニコとサインに応じ、徳川さんは少し不満げにそっぽを向いていた。
「あなた、まつりさんのファンだったの? そんなの一度も言わなかったじゃない」
「姉ちゃんには……なんか、言いづらくて」
「はいなのです、これからも姫を応援してくださいなのです」
 宝物を受け取るように、高山少年はまつり姫からサインを受け取る。
 そして思い出した。
「あ、あの……もう一枚いいですか?」
「ほ? いいのですよ。紗代子ちゃんの弟さんだし、サービスしてあげるのです」
 さらさらとまつり姫は、サインを書き上げて彼に渡す。
「ありがとうございます。あの……徳川さん」
「なに!?」
 不機嫌を隠そうともせず、徳川さんは彼に向き直る。
「これ……徳川さんの分」
「え?」
「ほ?」
 やはり少し似ている2人が、同時に声を上げる。
 ああ、やはり姉妹なんだなと高山姉弟は思う。
「言ってたじゃない。ちょっと欲しいと思わなくもない……って」
 それを聞き、驚いた表情でまつり姫は徳川さんを見た。
 徳川さんはといえば、気まずそうに高山少年と姉のまつり姫を交互に見る。
「い、今そんなこと言わなくても……」
「そうだったの? だってあなた、お姉ちゃんがしてあげようかって言っても、絶対要らない……って」
 先ほどまで不機嫌だった徳川さんが、真っ赤になってうつむいた。
「それは、その……た、高山君と同じで……」
「同じで、なに?」
「欲しいなんて、言いづらかったの!」
 妹の言葉に、まつり姫は笑顔のまま涙を流した。




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