30: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2022/05/10(火) 14:00:31.15 ID:nm7zvJuf0
「ライブに呼んでもらえる……んだったよね」
「いや、そうじゃなくてさ」
それでも少し逡巡してから、彼は言った。
「徳川さんみたいな子と、知り合うきっかけになったから」
少しだけまつり姫に似た瞳が少し大きくなり、その後彼女は微笑んだ。
「あのさ、高山く……」
嬉しそうに徳川さんが、何かを彼に言いそうになったその時、彼の部屋のドアが、バンと開いた。
「失礼するのです!」
「あ、あのまつりさん。ちょっと待ってやって……あ、お、おじゃまするね」
廊下から、憧れの人が姉と入ってきた。
え?
なにが起こっているのか把握しきれない高山少年。
「あなたにはまだ恋とか、彼氏とか、そのお宅訪問とかは早いのです!」
「ま、まつりさん。妹さんと弟はそういうのじゃないと思うんです。まあ、まだ。そうよね? ほら、黙っていないでなんとか言いなさい」
「え? まつりちゃん? なんで……え? なんでいるの!?」
好きになった女の子と、その姉と、自分がファンのアイドルと……いや、その姉とファンのアイドルは同一人物だが、それと自分の姉とが同時に目の前で話し始めたことに、高山少年の思考はついていけなくなっている。
「姫は認めないのです!」
「待ってください、まつりさん!」
「だからなんでいるの!?」
自室で突如繰り広げられる喧噪に、とりあえず彼は自分が言いたいことを言うことにした。
「あの!」
喧噪のまつり、姉の紗代子、そして徳川さんが一斉に彼を見る。
彼は言った。
「まつり姫、ファンです。サインください!」
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