姉がアイドルということ
1- 20
27: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2022/05/10(火) 13:58:34.35 ID:nm7zvJuf0

「遊園地のパレードでお姫様を見て、憧れて……なるほど」
「子供の頃、ね。それでまつりちゃんが『お姉ちゃん、あんなお姫様になりたいんだけどなれるかな』って言うから、私もお姉ちゃんならぜったいなれるし、そうなったら嬉しい……って」
 憧れのアイドルのルーツを、その場にいた身内から聞き高山少年は少しばかりの感動と、納得を得た。
 徳田さん……いや徳川さんの言っていた「そんなの昔のことじゃない」というのは、そういう意味だったのだ。
 では、「迷惑だよ」とは?
「その日からまつりちゃん、お姫様になる特訓とか言いだして……」
「お姫様になる特訓……」
 どんな特訓だろうか?
「普段着のお洋服もなんかヒラヒラしたのを着るようになって、口調もお姫様はふわふわした喋り方にしないととかで変えて」
 徳川さんは、ちょっと辛そうにそう言った。
「ごはんも「お姫様にはテーブルマナーも必要なのです」とか言ってナイフとフォークで食べるようになって」
「それは別にいいんじゃないの?」
「でも食べるのは、焼き魚とかお刺身なんだよ?」
 なるほどそれは少しミスマッチだ。
 いや――少し……か?
「体力も必要だとかで、身体を鍛えたり。でも身体のラインは崩れないように、ってまた別の特訓とかしたり」
「そんなことやってるんだ」
「もうね、高山君はまつりちゃんのこと本当のお姫様みたいとか言うけど、全然そんなんじゃないんだからね! いっつも無理して!! そもそもうちなんて普通の家庭なんだから、普通。ミドルクラスの、なんなら下の方ですから!!!」
「う、うん」
 徳川さんの勢いに、やや気圧されるように高山少年は頷く。
「……ごめん」


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
42Res/43.05 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice