24: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2022/04/24(日) 05:13:23.83 ID:bGZxlAIa0
喉を逆流する熱い感触がして、慌ててトイレへと走る。
「うおっ……お……おえっ」
吐しゃ物と一緒に、涙が流れてくる。
「ちくしょう……ぢくしょうっ……」
辛かった。ただただ辛かった。
想像の中でまゆを汚すのも、まゆを品性下劣な男に奪われるのも、こんな事を想像する自分も――何もかもが辛く、耐えられなかった。
涙でぼやける視界の中で、赤いモノを目に捉える。
ああ、毎晩のようにこうして吐いているせいだろう。俺の喉も限界だった。
吐しゃ物を流しながらゆっくりと顔を上げる。
鏡の中には驚くほどやつれた男の顔が浮かんでいた。
「……限界か」
この2週間で4キロもやせてしまった。食欲はなく、無理に喉を通したゼリーはこうして吐き出してしまう。
思い出されるのは悲しそうに心配するまゆの顔。
彼女の悲しみは俺がやつれるほど深まり、会うたびにその愛らしい顔を曇らせ、なかなか傍を離れようとはしない。
今俺がやっている事は、彼女をそこまで悲しませてまでやる事だろうか?
こんなにも苦しみながら……まゆまで悲しませながらやる必要はあるのか?
「……迷うな」
枯れ果てつつある体のどこにそんな力が隠されていたのか、自分でも驚くほどの力で歯を食いしばる。
「これは……まゆのためなんだ」
そうだ、これはまゆのため。
まゆの相手は、俺なんかじゃない。まゆが俺を見ているのは、まだ出会っていないからだ。
本当に自分を幸せにしてくれる――運命の相手と。
そのためならば何だってしてみせる。
例えその結果、俺の脳が破壊されて――まゆが悲しんでも。
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