6:名無しNIPPER
2022/04/02(土) 23:21:25.67 ID:QLtqEEbF0
何のことは無い。マルゼンスキーは偉大なウマ娘だった。その偉大なウマ娘が選んだトレーナーは当然偉大で、そのトレーナーが選んだウマ娘も突出したものがあるだろうということだ。
私が何の考えなしに担当したいと思ったその子に、周囲からの過大な期待が集まった。
それは私が思っていたよりも、とても大きなものだった。
「のびのびといい走りをする子だったんだけど…私は、上手なフォローをしてやることができなかった。彼女の調子はくるってしまって、思うような走りができなくなってしまって、レースを負け続けるようになった…私は、それでも彼女を立ち直らせることができなかった。だって、彼女の不調は私のせいだったから」
「…」
「…無責任なことだとわかってるけど、どうにか知り合いの信頼のおけるトレーナーに頼み込んで、担当を変わってもらった。どうしていいのかわからなかったから」
「…マルゼンスキーさんは、なんて?」
「すごく心配してくれて、たくさん謝られた。声が震えていて…何も、悪いことなんてないのにね」
「…」
彼女はとても優しい。だからこそ、自分の不甲斐ないことに巻き込んでしまって、申し訳なく思う。
「一時はトレーナーをやめようかとも思ったけど…周りの人が引き留めてくれて…今は、こうしてここでトレーナーをやらせてもらってる…いろいろな人に、お世話になって…」
私は、溜息を吐いて、話をそこでやめた。
担当の子にしていい話ではないと途中で気がついた。
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