7:名無しNIPPER
2022/04/02(土) 23:23:33.42 ID:QLtqEEbF0
彼女は私の話を聞いて黙り込んでしまった。
レース前に自分は何を話しているのだろう。
車が音を立てて側を通り、沈黙のまま道を歩いた。
彼女が、ぽつりとつぶやいた。
「…トレーナーさんからは、マルゼンスキーさんに連絡はしないんですか?」
「…え?」
「マルゼンスキーさんからの連絡は、律儀だからしてくれてるんだと思ってるんですか?」
「…」
「…ちゃんとマルゼンスキーさんと話した方がいいです。トレーナーさんの方から、ちゃんと」
私は、虚を突かれたように黙っていた。
「仲直りしてください」
「…仲直りって」
「…嫌われたと思い続けるのは辛いですよ」
「嫌ってなんかない!」
「わかってます。わかってるから、はやく連絡した方がいいです。取り返しのつく内に」
「…」
「…気を遣ってるだけなら、トレーナーさんみたいに連絡もしてきませんよ」
真剣な声色だった。
それでいて、言うのが辛そうな、様子だった。
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