【ウマ娘】マルゼンスキーのトレーナー
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5:名無しNIPPER
2022/04/02(土) 23:19:40.42 ID:QLtqEEbF0
マルゼンスキーはよくお姉さんぶっていた。
私の方が年上のはずなのに、どこか貫禄があって、頼りがいがあり、人を惹きつける力があった。
ずば抜けた才能を持ち、正直、私がいなくても速く走ることはできただろう。

マルゼンスキーはこんな私のことをよく信頼し、パートナーとして認めてくれていた。
人に頼られることの方を好む彼女だったが、私には少し甘えて、ときどき無茶なことを言ってくれていた。合宿のときはバスがあるのにわざわざ私物の車の助手席に引っ張られて乗せられたっけ。あれは大変だった…彼女は慌てふためく私を見て、楽しそうに笑っていた。

「…楽しかったなぁ」

懐かしそうに目を細める私に、さまざまな感情が混じったような表情で、私を見上げる彼女が言った。

「喧嘩別れだったんですか?」

「まさか。喧嘩なんて、彼女とは一度もしたことなかった」

じゃれ合いのようなことはしても、本気で傷つくようになったら、きっと彼女は自分から引き下がるだろう。明るいマイペースな振る舞いをする彼女だったけど、本当は自分以外の人に気を遣いすぎるほどに気を遣ってしまう人だったから。

「彼女とは今でも仲の良い友人だと思っているよ。ただ、引退後に、私が新しい子を担当したときにちょっと…」

「…嫉妬とか?」

「いやいや。マルゼンスキーが嫉妬なんてするわけない。本当に、全然マルゼンスキーは悪くなかったんだけど…私が、なんというか、ちょっと周りから持ち上げられ過ぎてて」

「まあ、レジェンドのトレーナーですからね。今地方にいることがおかしいくらいの」

「私は、そんなこと関係なかった。楽しそうに走るウマ娘の力になれればいいと思ってた…」

「…」

今でも、あの頃を思い出すときに、もう少しやりようがあったのにと、後悔をする。
いかに自分がマルゼンスキーに頼りきりだったかを思い知らされた。



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