99:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 01:03:45.30 ID:XVB8s0iW0
15a 魔界の動向 頂点の者たち
こうして魔界はムンドゥスのもと統一された。
ただし平和が訪れたわけではなかった。
果実を巡る騒乱が終わろうとも、魔族の価値観と本能ゆえ
武力衝突は魔界全土で常時繰り広げられた。
そしてそんな世界を統べる魔帝も、
その闘争の日常を全面的に推奨していた。
ムンドゥス支配に、治安維持などという概念はもちろん存在しなかった。
むしろ争いが少ない領域に対しては配下を派遣して荒らし、
「治安破壊」と言える措置を執った。
これら絶え間ない騒乱は魔族の力の増幅現象をより促進し、
弱者を滅し強者をより強め、種全体のさらなる強化に繋がった。
この措置は副作用としてしばしば魔帝に対する反乱機運を生じさせたが、
それもまた闘争の種だとし、魔帝は容認した。
彼の直接支配圏では「反乱する自由」もあったのである。
こうした魔帝の統治方針は、単に暴虐と闘争という魔族の本能のみならず、
彼自身の悪辣な欲望も背景にあった。
魔帝の最大願望は全てを支配することであるが、
単に支配するだけではなく、それが加虐的なものであり、
「奴隷」に最大の苦痛を与える関係であることを大前提としていたのである。
それゆえ反乱を容認し、大規模な挑戦を喜んで受けた。
機会を与えず最初から封じてしまうよりも、
機会を与えてから叩き潰すほうが大きな苦痛を与えられると。
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