98:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 01:02:59.35 ID:XVB8s0iW0
こうして侵犯者たちの新序列が定まった時点で、
魔界におけるムンドゥスの覇は事実上確定した。
残る下々の平定など彼にとって片手間でも易かった。
ある者たちはその力に魅せられて忠誠を誓い、
ある者たちは憎悪しつつもひとまず屈服し、
ある者たちは抗い続けて虐殺され、
最終的に魔界全域が彼の支配を認めるに到る。
そうして名実共に頂点となったムンドゥスは、
『闇の創造主の長子』としてクイーンシバの代理者を名乗り、
クイーンシバに代わって魔界の実効支配を宣言。
そして自らを『魔帝』と称した。
ただし、もちろんこれら宣言は
すべて彼の傲慢な支配欲を飾る建前にすぎなかった。
クイーンシバの代理者と名乗りつつも、
腹底ではかの女王に平伏すつもりもなかった。
彼の支配欲は際限なく、いずれはクイーンシバの力をも
我が物にしようと考えていた。
とはいえ、このような魔帝の露骨な野心も含めて、
クイーンシバ側は底知れぬ寛容さで全てを受けれた。
魔帝のこの極めつけの傲慢さもまた「子」の美点であるとし、
沈黙によって彼の暴挙も承認した。
こうして闇の創造主からも認められ、魔帝はついに全魔統一を果たした。
原初時代の「血の世界」まで遡っても例がない、
魔族の歴史において初めてのことだった。
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