86:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 00:56:25.12 ID:XVB8s0iW0
こうしたアンブラ族の魔への傾倒は、
当然ながら主神派に強い反感を抱かせた。
ただ、さすがに主神派自身の采配が招いた失敗であることも明らかであり、
その自省が彼らを自制させ、この時はひとまず静観に留まらせた。
もとい、気づいた時にはもう強い対抗措置は選べなくなっていた。
武力行使という強硬策も選択肢の一つとしてはあった。
魔と結んだ以上アンブラ族を敵と認定し、ここは力ずくで屈服させ、
ジュベレウス復活に必要な世界の目を「奪還」する、
それ自体は主神派の世界観に則れば「正当な手段」の一つではある。
だが現実的には困難であった。
アンブラ族の武力はすでに極めて高く、打倒は容易ではない。
さらには魔族の大規模介入をも招きかねない。
加えてアンブラ族に同情的な魔神派がどう動くかもわからない。
これだけ成功が不透明な以上、武力行使という選択肢は無いも同然。
主神派は、少なくともこの時点において強硬策は論外とし、
アンブラ族と魔の関係を黙認することを選んだのである。
その黙認という選択は、もちろん主神派にとって耐えがたいものだった。
ジュベレウス復活という至上計画が崩れてゆくにもかかわらず
ただ静観するしかできなかったからである。
実際にアンブラ族と魔族のつながりが、
「世界の目」にも影響を及ぼしはじめることとなった。
魔界の力が、アンブラ族が有する「闇の左目」に流れこみ始めたのである。
これは主神派からすると紛れもない「汚染」であった。
こんな状態の目を用いてジュベレウスを復活させた場合、
ジュベレウスも悪しき性質を備えてしまうのでは、
そんな悪夢に主神派は苛まれた。
冒涜的な魔神派は「『黒きジュベレウス』のほうが気が合いそうだ」とむしろ喜んでいたものの、
やはり主神派には到底受け入れられないものであり、
復活式が開発停止に至ったのも、これが最大の理由だった。
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