85:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 00:55:51.83 ID:XVB8s0iW0
この世界観の相違は当初、互いに寛容さをもって違いを認めたため、
表向きには大きな問題にはならなかった。
しかし前述の待遇の不均衡という状況が重なった今、
この封じられていた反感がアンブラ族で表面化していった。
天界が「世界の目」を欲しているのは事実、
悪意がなかろうが人界の均衡を崩し、
アンブラ族を相対的に弱体化させつつあるのも事実、
これらが並んだとき、彼女たちは現状に危機感を抱いたのである。
こうしてアンブラ族は魔族と結ぶようになった。
アンブラ族は女性主体だったこともあって、
この時より「魔女」と名乗るようになった。
それまでは二部族まとめて「賢者」と呼ばれていたが、
アンブラ族の二つ名が変わったことで
これより「賢者」とはルーメン族のみを指すようになった。
ただし、魔に傾倒したとはいえ
その関係は純粋に力を求めるためだけであり、
決して魔界陣営に与したわけではなかった。
アンブラ族は人界と「世界の目」を守護する完全な独立勢力であり、
天魔含め如何なる勢力にも与さない、この方針は固持され、
個々の悪魔との契約関係においても徹底された。
魔女にとって悪魔は使役対象あるいは単なる協力者であり、
臣従させることはあっても魔女側が臣従することは固く禁じられた。
これは単に中立を守るというだけではなく、
思想や精神までもが魔に汚染されることを防ぐためだった。
アンブラ族の属性は魔とおなじ闇とはいえ、
彼女たちは人間界と「世界の目」守護を至上目的とし、
「献身と忠義」こそ正義としていたのである。
悪魔の力は有益であっても、
「闘争と暴虐」を基盤とする悪魔の価値観は
受け入れられないものだった。
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