210:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 12:47:40.52 ID:XVB8s0iW0
7 ロキの決断
隠遁していたロキは長年、
虚無の深部から人間界を見守ってきたが、
此度の魔帝の件ばかりは己も行動する必要があると考えていた。
このままでは間違いなく人間界は戦禍に飲まれ、
さらにそれだけでは済まないということを
ロキはすでに「体験」していた。
彼はその『時の記憶』の力によって、
その恐るべき未来へと一度「旅」をしていたからである。
魔帝の人間界侵略は「終わりの始まり」であり、
ここで魔帝を破らなければ、
三位一体世界は最終的に魔帝の手中に、そんな未来へ。
魔帝の武力は三界最強というわけではない。
クイーンシバやかつてのエーシルに比べたら大きく劣り、
現在の弱体化しているロキにとっても抗えない相手ではなかった。
同じ魔族においても武力自体は互角な覇王がおり、
個に限らず集団も鑑みれば、クイーンシバ召喚術等を編みだした魔女と賢者、
そこに魔神たちも加わった総合武力は、
今や個としての魔帝を大きく凌駕しうるものだった。
だが、魔帝の最たる脅威性とは武力ではない、『創造』である。
『創造』がもたらす不死性、それを打破できないかぎり、
本質的に彼を滅ぼすことは困難なのである。
魔女と賢者もそれこそが最大の問題とみて、
この解決に尽力しているのが現状だった。
ただし、ロキはさらに大きな視点、
世界の「流れ」、もとい現実に対する著者のごとき視点から、
真の魔帝の脅威性をも看破していた。
313Res/336.05 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20