臥煙伊豆子「おいで。君の意思で、私の隣に」
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4:名無しNIPPER[sage saga]
2022/02/03(木) 23:36:45.21 ID:GA97p571O
「さて、何が観たい?」
「えっと」
「実はもう観る作品は決まっているんだ」

上映スケジュールを眺める僕に水を差した臥煙さんは、ペポパッ!とタッチパネルを操作してチケットを2枚買った。片方を手渡す。

「はい、どうぞ」
「あ、お金……」
「いいよいいよ。付き合って貰っているのは私だし、これから楽しむのも私だからね」

堂々と自分勝手な振る舞いをしながらも、映画のチケットを奢る臥煙さんはたしかに大人で、僕は少なからず憧れる。格好良かった。

「ところで確認なんだけど、こよみんは上映中に何か飲んだり食べたりする?」
「いえ、食べたり飲んだりしません」
「だよね。だから君を誘ったわけさ」

知っていたと目で語る臥煙さんはさっさと入場ゲートを通りチケットに記載されたスクリーンの席へと向かう。最上段の左端だった。

「どうして真ん中じゃないんですか?」
「斜に構えているから。君と同じくね」

高校時代の僕ならともかく社会人として多少は協調性を身につけた僕はそこまで斜に構えているつもりはないのだが、反論出来ない。


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