3:名無しNIPPER[sage saga]
2022/02/03(木) 23:35:55.59 ID:GA97p571O
「デートはともかく、特に予定も用事もないので、映画を観るのは構いませんけど……」
「もちろん知っていたとも。さあ、行こう」
臥煙さんは何でも知ってるお姉ちゃん。果たして本当だろうか。たまたま僕を見かけて今さっきデートプランをでっち上げたのでは。
「こよみん。映画館は何階にある?」
「え? 3階、ですけど……?」
「そうだね。じゃあ、なんで、私が下りのエスカレーターに乗っていたと思うんだい?」
僕とすれ違うため。信憑性を裏付けられた。
「あの、臥煙さん」
「ん? なんだい、こよみん?」
「腕を組むのはちょっと……」
僕が抵抗すると臥煙さんは嗜虐的に微笑み。
「ああ。君は私の胸が肘に当たるのを期待しているのかもしれないけれど別に着痩せするタイプじゃないからその期待には応えられない。しかし変に期待させるのは大人として良くないから、だからお望み通りこうしよう」
そう言って臥煙さんは手を繋ぐ。恋人繋ぎ。
「お気遣い……どうも」
「いやいや礼には及ばないよ。恋人繋ぎくらい恋人じゃなくたって出来るんだから。またひとつお利口になって良かったねこよみん」
恋人じゃなくたって恋人気分を僕は味わう。
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