1:名無しNIPPER[sage saga]
2022/02/03(木) 23:29:11.22 ID:GA97p571O
「え……?」
大昔のRPGやシューティングゲームに横スクロールや縦スクロールという形式があって、日常生活においてそのような景色の見え方をする機会はそう多くはないのだが、時として似たような感覚に陥ることがある。たとえば停車している電車に乗車している際に隣の電車が発車した時だとか、今まさにこうして、エスカレーターで上層階に上がる時などだ。
「臥煙、さん……だよな?」
仕事帰りに気まぐれに立ち寄った大型ショッピングモールのエスカレーターで、臥煙さんらしき人物とすれ違った。なんとなく、臥煙さんというか専門家連中は世俗を離れている意識があったので、よもやその元締めたる臥煙伊豆子さんがここに存在しているとは思わず、他人のそら似かと目を逸らす間際、まるでその瞬間に僕とすれ違うことを知っていたかのように目が合った。そのまま僕は進む。
「まさか上がってきたりしないよな……?」
「やあ、こよみん」
神出鬼没な専門家の元締めの動向など僕には予想などつく筈もないのだが、想定外ならぬ想定通りに片手をあげたくらいにして臥煙さんはエスカレーターに運ばれてやってきた。
「臥煙さん、何をしてるんですか……?」
「君を迎えに来た」
僕のところまで歩み寄ると、さも当然のように偶然ではないと言われて、僕は面食らう。
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2:名無しNIPPER[sage saga]
2022/02/03(木) 23:30:58.12 ID:GA97p571O
「なんだい? 私は別に、君の面を食うつもりはないよ。面食いじゃあるまいし」
はっはっはーっ。と、臥煙伊豆子は笑った。
「えっと、怪異絡みの案件ですか……?」
3:名無しNIPPER[sage saga]
2022/02/03(木) 23:35:55.59 ID:GA97p571O
「デートはともかく、特に予定も用事もないので、映画を観るのは構いませんけど……」
「もちろん知っていたとも。さあ、行こう」
臥煙さんは何でも知ってるお姉ちゃん。果たして本当だろうか。たまたま僕を見かけて今さっきデートプランをでっち上げたのでは。
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