1: ◆kBqQfBrAQE[sage saga]
2021/12/26(日) 23:06:29.99 ID:4Xl2PJ5H0
ウマ娘SSです。
一応、地の文形式。
SSWiki : ss.vip2ch.com
2: ◆kBqQfBrAQE[sage saga]
2021/12/26(日) 23:08:45.61 ID:4Xl2PJ5H0
モノレールはビル群をゆっくりと縫って進み、ナイスネイチャが目的とする駅に到着した。
「それじゃトレーナーさん、14時に小倉駅だね」
3: ◆kBqQfBrAQE[sage saga]
2021/12/26(日) 23:09:44.67 ID:4Xl2PJ5H0
トゥインクルシリーズで結果を残し、デビューしてからの最初の三年間を、ネイチャはトレーナーと共に乗り切った。シリーズ通じて強敵相手に善戦を繰り返していたが、昨年のシニア級では年末のグランプリでトウカイテイオーに競り勝ち、ナイスネイチャは初めてG1を制覇した。その勢いのまま、URAファイナルズも勝利し、彼女自身も出来すぎだと思う三年間を過ごした。今年からはドリームトロフィーリーグに参戦し、夏は優勝とはいかなかったが、強豪ひしめくなか掲示板に載るなど、着実に結果を残している。
今回ネイチャとそのトレーナーが小倉に来たのはトークイベントのためであった。クラシック級の夏、力をつけ、初めて重賞を制覇した地でもある。ネイチャにとっては、ファンに愛され、支えられることの大切さを改めて知った地でもあった。
4: ◆kBqQfBrAQE[sage saga]
2021/12/26(日) 23:10:19.56 ID:4Xl2PJ5H0
本来であれば、今日はネイチャもトレーナーもオフであり、昼過ぎの新幹線に乗るまでは時間が空いていた。そこで、以前お世話になった商店街をもう一度巡ってみようかと二人で話し合っていた。ところで、これはデートではない。そうネイチャは心の中で強く断言していた。
しかし、彼はトークイベント後、小倉にいる見習いや若手のトレーナーに特別講義を翌日してほしい、と依頼を受けた。トゥインクルシリーズで活躍したウマ娘を育てたトレーナーであり、彼の手腕が注目されるのは当然でもあった。だが、翌日はネイチャと二人で商店街に行く約束である。
5: ◆kBqQfBrAQE[sage saga]
2021/12/26(日) 23:10:48.25 ID:4Xl2PJ5H0
それから彼は特別講義についての打ち合わせを早速し始めた。しばらく話し込み、おおよその段取りを決めた後、ネイチャの方を振り返って彼女のツンとした表情を見たとき、彼は翌日に何をするはずだったのか、すべてを思い出した。
彼の人柄の良さは、ネイチャ自身もよく理解している魅力ではあったが……。
6: ◆kBqQfBrAQE[sage saga]
2021/12/26(日) 23:11:16.56 ID:4Xl2PJ5H0
ひゅうっと吹いた風がネイチャの意識を現在に引き戻す。こうして結局、彼女は一人で商店街巡りをすることになった。
足取りは少しばかり重いのは、彼がいない寂しさが表れたためであろうか。
7: ◆kBqQfBrAQE[sage saga]
2021/12/26(日) 23:12:06.05 ID:4Xl2PJ5H0
商店街の中に入ると、外の印象と打って変わって、熱気と活気に満ち溢れていた。しかし、道幅が狭い商店街である。その狭さたるや、歩いてすれ違う時に肩をぶつけないよう注意しなければならない。その小道の両側で店がひしめく様子は壮観である。以前、初めてこの場所を訪れたネイチャはその光景に圧倒されたが、久々にやって来ると改めて驚かされる。
大正時代から起源をもつ古い商店街である。店舗の多くが戦後に建てられ、その古さがこの商店街の独特の雰囲気を形成しており、ネイチャは初めて訪れたときからこのノスタルジックな雰囲気を気に入った。
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