6: ◆kBqQfBrAQE[sage saga]
2021/12/26(日) 23:11:16.56 ID:4Xl2PJ5H0
ひゅうっと吹いた風がネイチャの意識を現在に引き戻す。こうして結局、彼女は一人で商店街巡りをすることになった。
足取りは少しばかり重いのは、彼がいない寂しさが表れたためであろうか。
ホームから階段を降り、改札を抜けてさらに地上へと降りる。通りへ出ると、枯葉が舞い、冷えた秋風がネイチャの頬に当たった。雲も少なく太陽も燦々と道や建物を照らしているが、空気は冬の訪れをしっかりと伝えている。北西が響灘に面する小倉の街は、冬になると強い風が通り抜けていく。これよりも冷え切った真冬のなか、小倉では競馬が開催される。ネイチャが走ったのは地面に陽炎ゆらめく夏の盛りであったが、なるほど冬の小倉もこれまた過酷であろうと彼女は思った。
目的地は駅から降りて目の前にある。モノレールも中央を走り、車も多く行きかう大きな通りだが、右には小さく口を開けた商店街が横に細く伸びている。入り口には、降り立ったモノレールの駅名と同じ地名と市場の文字。アーケードになっているが、中がほの暗く、洞窟に入るような心地になる。今回ネイチャが訪れたのは、この商店街である。
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