70:名無しNIPPER
2021/11/27(土) 23:09:47.13 ID:u50g9+A20
「……奏、それも君の冗談かな」
プロデューサーの返答は予想もついていたことだった。
「まさか、本気よ。お願い、私を舞台の上に立たせて」
「自分なら、練習をしていなくても簡単にできると思ってるから?」
「そうね。きっと私ならできると思う」
「随分、言うね」
「でも簡単じゃない。とっても難しいし、怖いこと。きっと失敗するかもしれないし、うまくいかないかもしれないけど。お願い、プロデューサー」
私は頭を下げた。
それができる、精いっぱいの誠意に思って。プロデューサーが、私の傍から離れていく気配を感じた。
こんな私に、あきれてかける言葉すら、見つからないのだろう。
諦めたくない。私は顔を上げた。プロデューサーはどこかに電話していた。
「お願い、プロデューサー」
プロデューサーは私を手で制した。そして電話を始めた。
「ねえ、奏の曲の音源はある?」
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