9:名無しNIPPER[saga]
2021/10/20(水) 22:14:39.20 ID:XxYmIC1x0
しばらくたってから、勇者はしびれを切らしたのか、俺に作戦を提案した。
【もう仕方ないなぁ。ここは二手に分かれよう】
勇者は口端を捻じ曲げて、指を二本立てる。
【君は、このまま進みたまえ。わたしはしばらく待ってから君を追う】
「俺は囮ってことだ」
【そういうこと、相手はかなり慎重なようだ。精一杯誘惑したまえ】
無茶なことをいう。だが、勇者は勇者で規格外であるから、反論できない。
「襲われたら、勇者の方へ逃げればいいんだな」
【そのとおり】
勇者はそう言って、微笑んだ。
【死んだら、わたしの元に帰るんだよ】
その言葉で背筋に寒気が走った。
勇者に、すでになにかされているのだろうかと疑ってしまうほどに。
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