私が育てる私の提督(艦これ)
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30:名無しNIPPER
2021/09/23(木) 21:56:52.14 ID:H8ldGDvs0
あ…れ?わ…た、しどうなったの?

 所々がきしむように痛い。体が重い。
 すぐさま自分が大破したと悟る。
 それもそうだ。
 ろくな訓練もせず。最前線に駆り出される始末。
 これはもうどうしようもなかった。

 そしてみんなが私を心配していた。
 ただ一人を除いて。

 提督から怒号が飛んでくる。
 私は謝った。謝るしかなかった。
 たとえどんなに理不尽でも。
 私が生きるためにはどんなことにも従わなければならなかった。
 そして私は敵艦の追撃を行うべく進撃した。
 接敵する前に私に提督からの入電があった。


 『味方ヲ護衛シ、玉砕セヨ』っと。

 これの意味はすぐにわかった。
 つまりは私はもういらないからせめて味方を守って栄光ある死を遂げよという意味だ。

 私は目の前が真っ暗になった。涙も出た。
 せっかく、せっかくまた生まれたのに。
 沈めと言われる。
 でも、この作戦には、作戦とも呼べないものでも絶対に従わなければならない。
 たとえどんなに理不尽であっても。

 私は涙をぐっと押し込み、味方の護衛を開始した。


 敵の後ろ姿が見えた。

 その瞬間、私は心臓が高鳴り、心拍数が上がるのを感じる。
 軋む体をむりやり抑え、味方のもとへと行くため、私の前線を上げる。

 みんなが私を前に出ないようにかばっている。
 でも、当時の私は味方の行動を察することができなかった。
 ただ、生きて、ただ、寝て、ただ、周りに認識されたかった。
 そんな感情が私の視界を、仲間の温情をも見失う。

 敵の砲弾が私をめがけて飛んでくる。
 私は避けようとした。しかし大破した体では満足に動けない。
 私はバランスを崩した。
 しかし、それが吉と出て、敵の砲弾は外れた。 
 九死に一生を得た。
 でも、私には九死なんてない。
 次は当たる。

 仲間が避けろと叫んでいる。
 でも、私は避けられない。

 だって、もう足が動かない。
 私は目をつぶった。
 私は今から迫りくるであろう死に向き合った。



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