8:名無しNIPPER
2021/08/31(火) 01:31:16.71 ID:HhS3J7f+O
サブスクでチャートの上位に入るようなラブソングを聞くたびに、自分がここにいることを改めて自覚する。
世間一般で私と同じくらいの女の子がしている恋愛なんて、私にはできないから。歌詞の感情を理解できないままに聞き流すことしか私にはできなかった。
娼婦、という言葉の意味も理解する前から私はここに住んでいた。両親がお金に困って私を売ったのは、まだ両手で年を数えられる頃だった。
9:名無しNIPPER
2021/08/31(火) 17:47:13.53 ID:zwE4/74sO
この世にあるラブソングは全て仮想の物語で、私に実体験として訪れることは無いと思っていた。
だからこそ、最近流れてくるこの歌がやたらと気になって仕方が無かった。歌っている内容はとても甘いラブソングで、ヒットチャートにある他のグループとも大差が無い。それなのに、歌い方なのか声なのか、それとももっと本質的なところなのか、果たしてその理由が何かは分からないけれど、私にはとても苦しそうに歌っているように思えた。
この歌のような甘い出来事は英語で言うところの仮定法のような。叶わないと知りつつも、そう願っていると伝わるような。そんな歌い方だった。
10:名無しNIPPER
2021/09/03(金) 00:27:14.28 ID:dX1WBd8vO
彼はどんな気持ちでこの歌を作ったのだろう。誰を想い、どんな希望と絶望で歌っているのだろうか。悲しい気持ちになってしまうのに、気がついたときは私はこの歌の虜になっていた。
誰かに春を売った後、私は決まってこの歌を流すようになった。まだ見ぬ誰かに、こんな気持ちを抱くのだろうかと。誰かを好きになることは、果たしてあるのだろうかと。
そんな希望を持つことが、私にとっては絶望でもあった。
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