【ウマ娘】小さなトレーナーと白い奇跡【みどりのマキバオー 】
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◆Nsqe9nXw7g
2021/08/08(日) 00:16:00.05 ID:OS/CCdyu0
「とにかくここがどこか調べねぇことには始まらねぇ。場所さえわかれば、あとはいざとなりゃ長距離トラックの荷台にでも潜り込んで北海道へ向かえばいいだけだ。そうと決まればとっととこっからオサラバして……」
泥を払って立ち上がったネズミは、改めて辺りを見渡して言葉を失った。何も考えずここまで走って自分が迷い込んだこの場所に、とても見慣れた光景が広がっていたからだ。
緑の芝、それを挟むように白いラチがあり、距離を示すハロン棒、そしてゴール板。
以下略
AAS
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◆Nsqe9nXw7g
2021/08/08(日) 00:17:14.34 ID:OS/CCdyu0
「こいつをやるのは朝日杯以来だな」
そう呟いたネズミは濡れたターフを自分の体以上の大きさもある雑巾で丁寧に拭きあげていく。何もしてやれない以上、せめていい馬場で悔いのないよう思い切り走らせてやりたい。ネズミが心からそう思えたのは、マックイーンで二人目だった。
ネズミが雑巾掛けを始めてどれくらいの時間が経っただろうか。日の出までまだ時間はあるとはいえ、2400mもの距離を一匹のネズミの力だけで拭きあげていくのは無理がある。しかし、決してネズミは諦めようとはしなかった。疲労は既に限界を迎えている。水を含んで重くなった雑巾を持ち上げる力はもうない。雑巾の下敷きになりながらも、ネズミはターフの水気を拭き取ろうと懸命にもがく。そんな時、体を覆っていた雑巾が持ち上がった。
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◆Nsqe9nXw7g
2021/08/08(日) 00:17:48.80 ID:OS/CCdyu0
「お、おめぇは……」
雑巾を持ち上げたのは、以前マックイーンの元にやってきた帽子を被った芦毛のウマ娘だった。確か名をゴールドシップと言っていただろうか。
「ちょうどいいところに雑巾が落ちてるじゃんか〜。うっし、いっちょ気合い入れてやってやろうじゃねーか」
以下略
AAS
54
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◆Nsqe9nXw7g
2021/08/08(日) 00:18:36.41 ID:OS/CCdyu0
暖かい風が吹いていた。
昨日の雨とは打って変わり、眩いばかりの晴天。長い冬の終わりを告げるかのように、桜の花びらが静かに舞っている。
真新しい制服に身を包んだ多くの新入生が、期待と不安を胸にトレセン学園の門を潜る。
以下略
AAS
55
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◆Nsqe9nXw7g
2021/08/08(日) 00:19:13.14 ID:OS/CCdyu0
トレセン学園内にある本物のレース場を模した練習コース。そこにあるビュースタンドは既に20万人を超える観客で埋め尽くされていた。
全国の競馬関係者、ファン、そして入学式を終えた新入生を含めた学園の在校生一同。
非正規のレースであり、あくまで非公式のもの。しかしながらその価値は三冠達成の瞬間を目撃する以上の価値がある≠ニ触れ込みが各社の競馬新聞により報じられた。
以下略
AAS
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◆Nsqe9nXw7g
2021/08/08(日) 00:21:01.62 ID:OS/CCdyu0
ウオッカの質問には答えず、ゴールドシップはスターティングゲートを指差す。そこには、錚々たる顔ぶれがジャージ姿で並んでいた。
「前日の雨が嘘のような快晴。暖かな春の陽気の助けもあり良馬場との発表がありましたここトレセン学園には、世紀の対決を一目見ようと多くの観客、関係者が詰めかけております。今回のメインは何と言っても一枠一番トウカイテイオーと一枠二番メジロマックイーン。このチームスピカ二大スターウマ娘の対決ですね、細江さん」
「そうですね。宝塚記念では見られなかった中距離対決への注目も勿論ですが、今回有志で参加を表明してくれた他のウマ娘たちからも目が離せません。誰が勝ってもおかしくない、まさに世紀の一戦になることは間違いないでしょう」
以下略
AAS
57
:
◆Nsqe9nXw7g
2021/08/08(日) 00:22:05.87 ID:OS/CCdyu0
「ダービーウマ娘と言えばこの娘も外せません。三枠五番にはトウカイテイオー同様に無敗で二冠を達成したミホノブルボン。そしてそのミホノブルボンとメジロマックイーンの悲願を阻んだ黒い刺客、ライスシャワーが三枠六番にて出走です」
「ミホノブルボンとトウカイテイオーの無敗二冠対決、そしてライスシャワーとメジロマックイーンのリベンジマッチにも注目したいですね」
「続いて四枠七番よりイクノディクタス、四枠八番からはマチカネタンホイザが参戦です」
以下略
AAS
58
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◆Nsqe9nXw7g
2021/08/08(日) 00:23:19.00 ID:OS/CCdyu0
「さぁ、気を取り直しまして五枠九番、十番からは新世代、BNWよりウィニングチケットとビワハヤヒデが参戦」
「ウィニングチケットもダービーを獲ってますし、ビワハヤヒデも有馬でのリベンジに燃えていると思いますよ」
「六枠十一番、十二番からは芦毛の二大巨頭、怪物<Iグリキャップと白いイナズマ<^マモクロスが出走致します」
以下略
AAS
59
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◆Nsqe9nXw7g
2021/08/08(日) 00:24:07.19 ID:OS/CCdyu0
スターティングゲートに入ったマックイーンは、隣で準備運動がてらに首を回しているウマ娘に話しかけた。こうして彼女と言葉を交わしたのはいつぶりだろう。色々話したいことを頭の中に用意していたつもりだったが、何を置いてもまずはこの言葉を先に伝えなければならない。
「お待たせしました」
桜の花びらを運ぶ風が栗色の髪を撫でている。柵越しに青い瞳を真っ直ぐこちらへと向けたトウカイテイオーは、マックイーンを見つめ返して答えた。
以下略
AAS
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◆Nsqe9nXw7g
2021/08/08(日) 00:25:16.86 ID:OS/CCdyu0
「「「うぉぉぉおおお!!!!」」」
20万人もの大歓声でスタンドが揺れている。様々な想いや願いを胸に十三名のウマ娘たちがターフを駆ける。まず先頭に立ったのはマックイーン。それに並走する形でミホノブルボン、メジロパーマーの三名が三つ巴の先頭争い。その三馬身後ろをエルコンドルパサー、イクノディクタス、ビワハヤヒデ、ウィニングチケットが追走。そこから更に二馬身後ろをスペシャルウィーク、内側から離れてやや大外へと向かいましたトウカイテイオー、オグリキャップ、マチカネタンホイザ、タマモクロス、ライスシャワーの順位でレースは進んでいく。
(序盤は大外後方から様子見。そこから足首のバネを活かして一気に上がってくる。まさに定石通りのテイオー走法。ですが、わたくしは負けるわけにはいかないんです!)
以下略
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