【ウマ娘】小さなトレーナーと白い奇跡【みどりのマキバオー 】
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51: ◆Nsqe9nXw7g
2021/08/08(日) 00:16:00.05 ID:OS/CCdyu0
「とにかくここがどこか調べねぇことには始まらねぇ。場所さえわかれば、あとはいざとなりゃ長距離トラックの荷台にでも潜り込んで北海道へ向かえばいいだけだ。そうと決まればとっととこっからオサラバして……」

 泥を払って立ち上がったネズミは、改めて辺りを見渡して言葉を失った。何も考えずここまで走って自分が迷い込んだこの場所に、とても見慣れた光景が広がっていたからだ。

 緑の芝、それを挟むように白いラチがあり、距離を示すハロン棒、そしてゴール板。

「ははは、なんつーか、因果なモンだよなぁ。どこまで行っても。記憶なんて無くたって無意識に俺は此処を求めちまう。もう体がぶっ壊れちまっていても、こっから溢れてくる衝動はやっぱ抑えきれねぇよ。そう、例え……」

 自身の左胸に手を当てていたネズミは、ふっと笑ってその先を言葉にするのを止めた。本物のレース場を目にしたことでほぼ全てを思い出した以上、それを口にするのは野暮。鼓動を刻んでいない左胸から離した手に目をやると、今にも消えてしまいそうなほど透けていた。

「レースの神様ってやつぁ、あのお嬢ちゃんだけじゃなく俺にまで最後の機会を与えてくれたみてぇだな。まぁ、こうしてここに呼ばれたのも意味があるんだろうよ。今の俺にしてやれることは限られているが、せめて明日は思いっきり走らせてやりてぇ。となると、やるべきことはアレしかねぇわな」

 ネズミは踵を返して来た道を戻っていく。程なくしてネズミは一枚の雑巾を咥えて帰ってきた。


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