【ウマ娘】小さなトレーナーと白い奇跡【みどりのマキバオー 】
↓
1-
覧
板
20
47
:
◆Nsqe9nXw7g
2021/08/08(日) 00:12:23.64 ID:OS/CCdyu0
「なにぼけーっとしてやがるんだよ。さっきからずっと呼んでるんだぜ? 明日は大事な勝負だっていうのに随分呑気じゃねーの。もしかして余裕の表れってやつか?」
ネズミはそう言うと、マックイーンの腕を伝って頭の上へと一気に駆け上った。旧校舎でのトレーニング以来、すっかりそこがネズミの定位置になっていた。
「余裕だなんてとんでもない。果たし状を出してからずっと不安ですわ。いっそ、明日なんて永遠に来なければと心の何処かで願うほどに……。今までたくさんのプレッシャーを受けてきましたが、これほど走るのが怖いと思える日もありませんでしたわ」
以下略
AAS
48
:
◆Nsqe9nXw7g
2021/08/08(日) 00:13:29.34 ID:OS/CCdyu0
「ですが、やはりわたくしは彼女と競いたい。テイオーとの約束を果たしたい。おそらく、これが神様がわたくしに与えてくださった最後のチャンス。この機を逃したら、きっと死ぬよりも辛い後悔を抱えながら生きていくことになる。それに、わたくしは絶対に負けません。今日までわたくしを支えてくれた全ての人たちに報いるためにも彼女を倒して真の最強を示して潔くターフを去りますわ」
「へっ、そうかい。そこまでの覚悟が決まってンなら今更発破をかけるのはヤボってもんだな。その支えてくれた奴らのためにも絶対に勝つんだぜ」
「あら、その中にはあなたも入っていますのよ? ネズミさん」
以下略
AAS
49
:
◆Nsqe9nXw7g
2021/08/08(日) 00:14:33.68 ID:OS/CCdyu0
「そんなことより、レースの対策とかちゃんと考えてんのか? 馬場の状態もこの雨じゃ明日はどうなるかわからねぇんだぞ」
「ええ、もちろんですわ。距離は2400m。この距離はテイオーが最も得意とする距離。そう、彼女が二冠目を獲った日本ダービーとほぼ同じ条件で……って、聞いてますの? ネズミさん ネズミさん?」
日本ダービー
以下略
AAS
50
:
◆Nsqe9nXw7g
2021/08/08(日) 00:15:11.85 ID:OS/CCdyu0
混乱している、というのが率直な感想だった。
マックイーンの部屋から飛び出したネズミは、寮の外へと飛び出した。幸い、雨はすっかり上がっていたが地面は水溜りや泥濘みが多く、非常に走りにくい。だが、こうして走っていないと頭がパニックでどうにかなりそうな衝動に襲われていたのだ。無我夢中でひたすら走っていたネズミが止まれたのは、濡れた芝生に足をとられて前のめりに倒れてからだった。
「痛ってぇなチクショウ。どうしちまったんだよ俺は。どこに行っちまったんだよあいつらは。もやもやしやがるぜ。一番大事なことだけが思い出せねぇ」
以下略
AAS
51
:
◆Nsqe9nXw7g
2021/08/08(日) 00:16:00.05 ID:OS/CCdyu0
「とにかくここがどこか調べねぇことには始まらねぇ。場所さえわかれば、あとはいざとなりゃ長距離トラックの荷台にでも潜り込んで北海道へ向かえばいいだけだ。そうと決まればとっととこっからオサラバして……」
泥を払って立ち上がったネズミは、改めて辺りを見渡して言葉を失った。何も考えずここまで走って自分が迷い込んだこの場所に、とても見慣れた光景が広がっていたからだ。
緑の芝、それを挟むように白いラチがあり、距離を示すハロン棒、そしてゴール板。
以下略
AAS
52
:
◆Nsqe9nXw7g
2021/08/08(日) 00:17:14.34 ID:OS/CCdyu0
「こいつをやるのは朝日杯以来だな」
そう呟いたネズミは濡れたターフを自分の体以上の大きさもある雑巾で丁寧に拭きあげていく。何もしてやれない以上、せめていい馬場で悔いのないよう思い切り走らせてやりたい。ネズミが心からそう思えたのは、マックイーンで二人目だった。
ネズミが雑巾掛けを始めてどれくらいの時間が経っただろうか。日の出までまだ時間はあるとはいえ、2400mもの距離を一匹のネズミの力だけで拭きあげていくのは無理がある。しかし、決してネズミは諦めようとはしなかった。疲労は既に限界を迎えている。水を含んで重くなった雑巾を持ち上げる力はもうない。雑巾の下敷きになりながらも、ネズミはターフの水気を拭き取ろうと懸命にもがく。そんな時、体を覆っていた雑巾が持ち上がった。
53
:
◆Nsqe9nXw7g
2021/08/08(日) 00:17:48.80 ID:OS/CCdyu0
「お、おめぇは……」
雑巾を持ち上げたのは、以前マックイーンの元にやってきた帽子を被った芦毛のウマ娘だった。確か名をゴールドシップと言っていただろうか。
「ちょうどいいところに雑巾が落ちてるじゃんか〜。うっし、いっちょ気合い入れてやってやろうじゃねーか」
以下略
AAS
54
:
◆Nsqe9nXw7g
2021/08/08(日) 00:18:36.41 ID:OS/CCdyu0
暖かい風が吹いていた。
昨日の雨とは打って変わり、眩いばかりの晴天。長い冬の終わりを告げるかのように、桜の花びらが静かに舞っている。
真新しい制服に身を包んだ多くの新入生が、期待と不安を胸にトレセン学園の門を潜る。
以下略
AAS
55
:
◆Nsqe9nXw7g
2021/08/08(日) 00:19:13.14 ID:OS/CCdyu0
トレセン学園内にある本物のレース場を模した練習コース。そこにあるビュースタンドは既に20万人を超える観客で埋め尽くされていた。
全国の競馬関係者、ファン、そして入学式を終えた新入生を含めた学園の在校生一同。
非正規のレースであり、あくまで非公式のもの。しかしながらその価値は三冠達成の瞬間を目撃する以上の価値がある≠ニ触れ込みが各社の競馬新聞により報じられた。
以下略
AAS
56
:
◆Nsqe9nXw7g
2021/08/08(日) 00:21:01.62 ID:OS/CCdyu0
ウオッカの質問には答えず、ゴールドシップはスターティングゲートを指差す。そこには、錚々たる顔ぶれがジャージ姿で並んでいた。
「前日の雨が嘘のような快晴。暖かな春の陽気の助けもあり良馬場との発表がありましたここトレセン学園には、世紀の対決を一目見ようと多くの観客、関係者が詰めかけております。今回のメインは何と言っても一枠一番トウカイテイオーと一枠二番メジロマックイーン。このチームスピカ二大スターウマ娘の対決ですね、細江さん」
「そうですね。宝塚記念では見られなかった中距離対決への注目も勿論ですが、今回有志で参加を表明してくれた他のウマ娘たちからも目が離せません。誰が勝ってもおかしくない、まさに世紀の一戦になることは間違いないでしょう」
以下略
AAS
57
:
◆Nsqe9nXw7g
2021/08/08(日) 00:22:05.87 ID:OS/CCdyu0
「ダービーウマ娘と言えばこの娘も外せません。三枠五番にはトウカイテイオー同様に無敗で二冠を達成したミホノブルボン。そしてそのミホノブルボンとメジロマックイーンの悲願を阻んだ黒い刺客、ライスシャワーが三枠六番にて出走です」
「ミホノブルボンとトウカイテイオーの無敗二冠対決、そしてライスシャワーとメジロマックイーンのリベンジマッチにも注目したいですね」
「続いて四枠七番よりイクノディクタス、四枠八番からはマチカネタンホイザが参戦です」
以下略
AAS
76Res/61.98 KB
↑[8]
前[4]
次[6]
書[5]
板[3]
1-[1]
l20
【ウマ娘】小さなトレーナーと白い奇跡【みどりのマキバオー 】-SS速報VIP http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1628344959/
VIPサービス増築中!
携帯うpろだ
|
隙間うpろだ
Powered By
VIPservice