貝木泥舟「竈門炭治郎? 誰だそいつは。知らん」
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7:名無しNIPPER[sage saga]
2021/07/16(金) 21:30:32.86 ID:HHo7aQtFO
「他愛もないな鬼舞辻無惨。不死身故に学習しないお前が今回のことで学ぶべき教訓があるとすれば、自分の力に自惚れている者ほど詐欺師にとっては騙しやすいということだ」

後日談にもならない真相を、ぼそりと呟く。
縁壱がハリボテであることにも気づかずに逃げ出した無惨を追うつもりは、俺にはない。
ぼんやりとした表情でその場に佇む継国縁壱の足元に広げた和紙に火をつけ、燃やした。
ちなみにこの絵は遊廓で俺を接待しようとした漫画家志望の遊女から盗んだ代物である。

「炭治郎。お前の炭はよく燃えるな」

種火がひとつだけ貰った炭に移り、焔となって夜道でパチパチと爆ぜた。燃え尽きるまで眺めていようかと思ったが、邪魔が入った。

「やれやれ。盛大にやってくれたね」

臥煙の声が夜道に響くもその姿は見えない。

「これで竈門少年と家族の命は助かった。しかしその代償として鬼舞辻無惨を逃した。あの鬼を倒すには炭治郎の家族を襲わせて仇を討たせる必要があった。だからこそ私はお前に富岡義勇の足止めを依頼した。しかし今宵、歴史が大きく変わってしまったせいで、私たちが暮らす現代は鬼によって滅ぼされることが定められてしまった。だから、泥舟」

臥煙伊豆子はまるで、上司のように告げた。

「ペナルティーだ。しばらく反省したまえ」
「いいや、臥煙先輩。それには及ばないさ」

どのようなペナルティーなのかは知らないが、俺はそれに甘んじるつもりはなかった。

「どのみち、鬼舞辻無惨は終わりだ」
「それはどういう意味だい?」
「来ているんだろう。阿良々木と吸血鬼も」

臥煙先輩の表情は伺えないが、読めている。

「今ごろ、鬼舞辻無惨は吸血鬼の腹の中だ」
「ご名答。だが、いつから気づいていた?」
「遊女に千石撫子が混ざっていただろう」
「なるほど。流石に迂闊だったか」
「故にそこから導き出される結論は、仙石撫子に鬼滅の2次創作の依頼を出し、現実を漫画の中の世界へと変質させたということだ」

ここは千石撫子が描いた漫画の中であった。


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