貝木泥舟「竈門炭治郎? 誰だそいつは。知らん」
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5:名無しNIPPER[sage saga]
2021/07/16(金) 21:20:19.14 ID:HHo7aQtFO
「さて、自問自答だ」
真っ暗な山道を歩きながら自問自答をする。
「臥煙の言いなりになって仕事をこなしてやる義理が、果たして俺にはあるだろうか」
答えはNOだ。そんな義理は一欠片もない。
仕事をするにあたり前金代わりに寄越した遊女を追い出した俺が臥煙に従う理由はない。
「それでは、竈門炭治郎のためにタダ働きをしてやるつもりが俺にはあるか。父親に声が似ている俺は、僅かながらでもあの少年に親しみを覚えてひと仕事してやろうと思うか」
やはり、NOだ。タダより高いものはない。
声が似ているのも偶然だ。たまたま俺が清流のせせらぎのような美声だったに過ぎない。
「この状況を招いたことに僅かなりとも責任を感じて事態を収束させる気は俺にあるか」
NOだ。こうなったのは俺のせいではない。
「駄目だ。何ひとつ、理由が思いつかない」
まったく、こんなにやる気が出ない仕事というのは久しぶりだ。前に戦場ヶ原に依頼されたくだらない仕事以来だろう。気分が悪い。
あの時はどのように困難を乗り越えたのか。
そう言えば、俺が世界で唯一恩義を感じていた臥煙遠江の忘れ形見を引き合いに出したのではなかったか。一応、自問自答してやる。
「神原駿河の倒錯した変態趣味の為に1円にもならない仕事をするつもりが俺にはあるか」
YESだ。考えるまでもなく即断即決だった。
俺は山の麓の町で鬼舞辻無惨の足跡を追ってやって来た富岡義勇の足止めをしてやった。
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