貝木泥舟「竈門炭治郎? 誰だそいつは。知らん」
↓ 1- 覧 板 20
4:名無しNIPPER[sage saga]
2021/07/16(金) 21:17:05.67 ID:HHo7aQtFO
「鬼が出るぞ」
詐欺師と少年が山道を肩を並べて歩いていると、山裾に住む初老の男に呼び止められた。
竈門少年とは顔見知りらしく、その晩は三郎と名乗るその初老の男の家に泊まるようだ。
「貝木さんも泊まっていかれては?」
「俺は町に忘れ物をしたから取りに戻る」
「えっ……夜道は危険ですよ」
俺からしてみれば明らかに目つきがおかしい初老の男の自宅に泊まるほうが危険極まりないと思うが、ひとまずそれらしい嘘を吐く。
「俺が持っているのは便所で用を足すためのちり紙だ。そんな紙で大切な家族の似顔絵を描いて欲しいのなら俺もここに泊まるが、ひとりの大人として、そんな不作法は出来かねる」
そんな俺の嘘を信じた様子の竈門少年は困ったような顔をして、鼻先をぽりぽり掻いて。
「ええっと……はい。わかりました。貝木さんは、その……優しい嘘をつくんですね」
やはり、この少年は嘘を見抜けるらしい。
しかし優しい嘘など見当違いも甚だしい。
おおかた、なるべく良い紙で似顔絵を描いてやろうとして嘘をついた立派な画家だと思われているのだろう。好都合なので反論はしない。
10Res/12.74 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20