貝木泥舟「竈門炭治郎? 誰だそいつは。知らん」
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3:名無しNIPPER[sage saga]
2021/07/16(金) 21:00:19.91 ID:HHo7aQtFO
「へえ、貝木泥舟さん。珍しい名前ですね」
「ああ」

竈門炭治郎は山奥で暮らしていて、そこに辿り着くまではかなりハードなハイキングになりそうだった。これは追加料金が必要だな。

「あの、貝木さん」
「なんだ?」

道すがら俺が自己紹介をしてやると、竈門炭治郎は何やら言いづらそうに、こう訊ねた。

「竈門炭治郎という名に覚えはないですか」
「竈門炭治郎? 誰だそいつは。知らん」

息を吐くように俺が嘘をつくと、竈門少年は肩を落として力なく笑った。悲壮感が漂う。

「あはは……すみません。貝木さんの声が、俺の父親の声とあまりにも似ていたもので」
「それはどういう意味だ?」
「うちの父は既に亡くなってまして、それでも俺はどこかで生きてるんじゃないかって」

竈門炭治郎については、詳しく調べていた。
病死した父親のことも、そして遺された母親と妹や弟たちのことも、全て把握している。
父親を喪い、唯一の稼ぎ手としてこの少年が家計を支えているということもわかった上で俺は専門家として、竈門炭治郎に忠告した。

「気持ちはわかるが父親を騙る悪人に騙されるかも知れないから気をつけたほうがいい」
「はい……気をつけます」

今この瞬間にもこの少年は騙されていて、如何にも純真無垢な竈門炭治郎は俺のような詐欺師からすると恰好のカモのように見えるが、こういう子供が意外と鼻が効くのだと、千石撫子の一件で身に染みて理解している。


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