キョン「なんのつもりだ?」ハルヒ「……行かないで」
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1:名無しNIPPER[sage saga]
2021/07/07(水) 22:35:51.84 ID:rcCzl30NO
世間一般のイメージとは裏腹に、涼宮ハルヒは常時"ハレ晴レユカイ"というわけではなく、出会った当初などはいつも不機嫌そうな雰囲気を醸していて、例えるならば"ジメジメ不快"とでも表現するのが適切であった。

「蒸し暑いわね……」

季節は梅雨真っ盛り。
朝から晩まで曇天で、雨は振ったりやんだりを繰り返し、気温の上昇に伴い不快指数は止まることを知らず鰻登りであると言えよう。

「私のことも煽ぎなさいよ」
「嫌だね」

パタパタと下敷きを団扇代わりにして少しでも肌の表面温度を下げようと風を送り続ける俺に向かって、どこかの王侯貴族が如く、扇げと催促するハルヒをあしらいながら、この団扇で扇ぐという行為は得られる風とそのために消費する労力は果たして釣り合いが取れているのだろうかと考えを巡らせていると。

「だから人に煽がせる意味があるんでしょ」

などと、身も蓋もないことを抜かすハルヒにちらと視線を送ると、心底うんざりしたような表情と、汗で頬に張り付く髪の毛がなんだか風情があるような気がして、そこに一定の価値を見出した俺はその対価として下敷きで煽いでやった。やれやれ。我ながら甘いな。

「涼しいか?」
「全然」

そうかいと嘆息しつつハルヒの頬に張り付く髪の毛を無性に取ってやりたくなる衝動を堪えながら、俺はなんとなしに既視感を覚えて記憶を探り、中学時代の一幕を思い出した。

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2:名無しNIPPER[sage saga]
2021/07/07(水) 22:39:00.73 ID:rcCzl30NO
「暑いのはともかく、このうっとおしい湿気だけはどうにかして欲しいもんだ」
「僕も同感だね」

中学時代、よくつるんでいたダチの中に女の癖に男みたいに振る舞う変わり者がいた。

以下略 AAS



3:名無しNIPPER[sage saga]
2021/07/07(水) 22:41:11.50 ID:rcCzl30NO
「名案を思いついたんだけど」
「なんだ?」

ひとしきりくつくつ笑っていた佐々木は何やら閃いたらしく、机の引き出しから下敷きを取り出してそれを掲げて得意げに提案した。

以下略 AAS



4:名無しNIPPER[sage saga]
2021/07/07(水) 22:43:00.84 ID:rcCzl30NO
「キョン、すごい汗だよ」
「はあ……はあ……なんの、これしき……!」

汗をダラダラ流し、腕が攣りかけても俺は下敷きを煽ぎ続けた。何故そこまでするのか。
答えは簡単だ。俺が当時、男子中学生だったからだ。親しい女友達の女の子らしいところを見つけて、そこに価値を見出したからだ。
以下略 AAS



5:名無しNIPPER[sage saga]
2021/07/07(水) 22:45:38.06 ID:rcCzl30NO
「キョン、今のは狙ってやったのかい?」
「そ、そんなつもりは……」
「僕はこれまでキミはそんな下衆ではないと思っていたが、考えを改める必要があるね」

言い訳は通用しない。俺は下衆野郎だった。
以下略 AAS



6:名無しNIPPER[sage saga]
2021/07/07(水) 22:47:51.19 ID:rcCzl30NO
「ゆ、許してくれるのか……?」
「そもそも怒ってないからね」

どうやら俺は揶揄われていたらしい。
佐々木は本当に怒っていないようで上機嫌にくっくくっくと、肩を揺らして笑っている。
以下略 AAS



7:名無しNIPPER[sage saga]
2021/07/07(水) 22:49:53.58 ID:rcCzl30NO
「もういい」

中学時代の思い出に浸りながら下敷きでハルヒを扇いでやっていると、いきなり手首を掴まれて強引に煽ぐのをやめさせられた。

「満足したのか?」
以下略 AAS



8:名無しNIPPER[sage saga]
2021/07/07(水) 22:52:03.46 ID:rcCzl30NO
「なあ、ハルヒ」
「……なによ」
「女子高校生は短パンを穿いてるのか?」

脈絡なく尋ねてみると、ハルヒは笑って。
以下略 AAS



9:名無しNIPPER[sage]
2021/07/08(木) 18:25:18.43 ID:zEu8u7lRo
糞が(賛辞)
ここまでいっぱい見てきたのに毎回冒頭は騙されるわ
おつ


10:名無しNIPPER[sage]
2021/07/09(金) 23:50:14.76 ID:pkEx79yXO
流石だな
安定のフハックオリティ



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