結標「私は結標淡希。記憶喪失です」
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815: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2022/01/22(土) 18:41:24.24 ID:7SptLiMdo


 第七学区にあるふれあい広場。
 春休み期間ということもあり、小学生くらいの子どもたちが楽しそうに駆け回っていた。
 そんな場所だが中・高生もいる。RABLM(らぶるん)という移動式のクレープ屋の屋台の順番待ちの列に並んでいた。
 特にキャンペーンなどしている様子はないが、これだけの列ができるということはそれだけ有名な店なのだろう。
  
 そんな店のクレープを買い、ベンチに腰掛けて食べている金髪碧眼の少女二人組がいた。
 高校生くらいの少女フレンダと小学生くらいの少女フレメア。見ての通りの姉妹である。


フレメア「やっぱりクレープはチョコ&ショコラの組み合わせが最高! にゃあ」

フレンダ「それどっちもチョコレートじゃん」


 フレンダは呆れながら手に持ったクレープをかじる。
 
 
フレメア「ところでお姉ちゃん?」

フレンダ「なに?」

フレメア「今日はどうしたの? 急にクレープを食べに行こうだなんて」

フレンダ「……別にー。これと言った深い意味はない訳よ。ただ暇だっただけ」

フレメア「ふーん」


 嘘だ。本当はただ逃げたかっただけだ。
 暗部から。現実から。失敗続きで良いとこなしの自分から。
 妹という光の世界の象徴へ逃げたかっただけだ。
 

フレメア「だったらお姉ちゃん! 暇なら今から映画観に行こうよ!」


 フレメアが大きな瞳を輝かせる。
 正直、いま映画なんて観てもまったく内容が入ってこないだろう。
 けど、それで彼女が喜んでくれるのなら、とフレンダは小さく息を吐いた。


フレンダ「映画かー、まあ時間はあるし別にいいけど。何が観たいのよ?」

フレメア「今やってるゾンビのヤツ!」

フレンダ「うぇーやっぱそういう系かー。恋愛モノのヤツ観ようよー? 何か今やってるでしょ? 学園ラブコメのヤツ」

フレメア「そんなラブコメとかいうフィクションの塊なんて、大体、興味ない。にゃあ」

フレンダ「ゾンビ映画もフィクションの塊でしょうが!」


 ピコン♪ 二人の会話を止めるように携帯の通知音が鳴る。
 嫌な予感がする。
 そう思いながら、フレンダはスカートのポケットから携帯端末を出して、画面を見る。





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