749: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2022/01/08(土) 11:48:31.98 ID:Q+V+Oj11o
佐久「よくできました。それじゃあ、お次は――」
そう言って佐久は銃口を一方通行へ向ける。
佐久「テメェらにはここでくたばってもらおうか。安心しろ。みんな仲良くあの世に連れて行ってやるよ」
土御門「みんな、だと?」
土御門が佐久の言葉に怪訝な表情をする。
一方通行と土御門を殺すのなら『二人』という単語を使うはずだ。
なのに、佐久は『みんな』と言った。
佐久「そうだよ。どうせこの女もすぐくたばるんだからな」
それを聞いて一人だけ驚愕の声を上げる者がいた。
一方通行でもなく、土御門でもなく、結標淡希でもなく。
手塩「どういうことだ佐久!? 座標移動は、生きたまま上層部へ、引き渡す予定だっただろ!?」
同じブロックの構成員である手塩だった。
まるで初めてそのことを聞かされたような、戸惑いの表情を浮かべている。
手塩からの質問に面倒臭そうに佐久が答える。
佐久「そういえばお前には言ってなかったか。この女は上層部には引き渡さねえ」
手塩「何だと? では一体、座標移動を、どうするつもりなんだ?」
佐久「決まってんだろ。こいつは俺たちが使うんだよ」
手塩「使う?」
佐久「そうだ」
不気味に口角を上げて佐久が笑う。
佐久「――『空間移動中継装置(テレポーテーション)計画』。座標移動(ムーブポイント)はその計画の礎となってもらう」
一方通行がピクリと体を震わせる。
『空間移動中継装置(テレポーテーション)計画』。その言葉の意味を彼はよく知っていた。
一定水準に達した空間移動能力者(テレポーター)を素体とし、一〇八台のスーパーコンピューターと連結させることにより、莫大な演算能力を与える。
そして、それらは一つの装置として扱われるため、誰でもボタン一つでテレポートというチカラを使うことが出来るようになるというもの。
この装置を作るためには空間移動能力者の肉体は必要なく、脳髄と脊髄が残っていれば運用が可能となっている。
つまり、彼らが欲しているのは座標移動の脳であり、結標淡希という少女は必要ないということだ。
手塩「その計画については、簡単にだが知っているつもりよ。だが、あれは我々だけで、再現できるものではないはずだ」
佐久「たしかにそうだな。けど、その点に関しては問題ないぜ。既にそれを再現してくれるスポンサーは見つけてある」
手塩「スポンサーだと?」
佐久「外部には学園都市の科学技術を狙う輩はたくさんいんだよ。その中には、それを再現できるだけの技術を持つ組織だって存在する」
結標「…………」
結標が顔を曇らせる。
かつての彼女も、学園都市の外部にある『科学結社』という組織と取引をしていたからだろう。
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