695: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2022/01/01(土) 11:26:43.34 ID:31eSI50lo
上条「ここってどこなんだ?」
A子「どこって、ただの少年院よぉ?」
三〇分ぐらい前にホテルを出発し、上条当麻とA子と名乗る黒髪少女は第一〇学区の少年院へ来ていた。
二人は敷地内を歩いている。まるで庭の中を歩いているかのように進む少女の後ろを、少年が恐る恐る付いていくような感じに。
上条「こんなところに結標が来るのか?」
A子「私の持ってる情報が正しいなら来る、いやもう来てるはずよぉ」
上条「来てるはず?」
質問に少女は特に顔を向けずに返す。
A子「そう。結標さんはここの少年院に用がある。でも、普段はAIMジャマーっていう能力を阻害する装置が起動しているから迂闊に侵入できないってワケ」
A子「けど、今日の午前四時からそのAIMジャマーがメンテナンスの為に一五分間機能を停止される。つまり、結標さんはその隙を突いて侵入しているはずってコトよぉ」
少女の説明にピンと来ていない感じで、
上条「何でそんなまどろっこしいことやってんだ? 捕まってる人に会いたいなら面会するなりして普通に行けばできるだろうし」
A子「そこら辺の事情は彼女のプライバシーに関わるから控えるけど、そう簡単にはいかない状況に陥っているってことは教えてあげるわぁ」
上条「…………」
上条は黙り込む。たしかにそうだなと納得したからだ。
結標には結標の考え方がある。こちらがとやかく言えることではない。
しかし、上条には疑問が残っていた。
少年院に侵入するという犯罪めいたことをしてまで一体何をするつもりなのか。
そんなことはいくら考えても、上条にはわからないことだが。
上条「……ん?」
考えている中、上条はあることに気付く。
少年院に無断で侵入するのは間違いなく犯罪だ。不法侵入とかそういう感じの。
今、上条とA子と名乗る少女は少年院の敷地内にいた。なんなら今から建物の中に入ろうとしている。
上条は少年院から入っていいなどという許可を得た覚えもない。
無論、目の前を歩いている少女がそんなことをしていた様子も見ていない。
ということは、
上条「ちょっといいですか? えっと……」
A子「少女A、じゃなかった。A子よぉ? 何かしら?」
上条「そのーA子さん? ワタクシめたちは今少年院に入っているんですよねえ?」
A子「そうよぉ。というか何? その違和力ありありな喋り方」
上条「ちなみにA子さんは少年院に入る許可とかって取ってるんですかね?」
A子「そんなモノこの私が取ってるわけないじゃない」
何言ってんだコイツ、みたいな表情で少女は上条を見る。
上条は「ふっ」と笑みを浮かべた。少女は首を傾げる。
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