結標「私は結標淡希。記憶喪失です」
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684: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2021/12/26(日) 00:41:51.08 ID:Ud1c3PHRo
 
 
 気付いたら天敵に囲まれていた。
 
 散々自分を追い回してきた超能力者(レベル5)第三位、『御坂美琴』。
 精神崩壊するくらいにまで自分を追い詰めた風紀委員(ジャッジメント)、『白井黒子』。
 そして、自分の希望を打ち砕き、圧倒的なチカラを振りかざした最強の超能力者(レベル5)、『一方通行』。
 
 そんな三人に囲まれていた。
 顔がこわばった。
 心臓がバクバクと鳴った。
 全身に鳥肌が立った。
 頭がおかしくなりそうだった。
 
 だから。
 
 逃げた。
 全力で。自分の身のことなど二の次に。目の前の恐怖たちから。一刻も早く離れるために。
 
 気付いたら隠れ家として使っているマンションの空き部屋にたどり着いていた。
 当たり前だが鍵がかかっていた。しかし手持ちに鍵はない。
 緊急時だからと言い聞かせて無理やり開けた。能力を使って。
 
 ドアを開けると、自分にとって信じられない景色が目の中に飛び込んでくる。
 部屋の中の家具は埃に塗れていて、長い間人が出入りした形跡がなかった。
 なんでこんなにボロボロなんだ、と疑問が浮かぶ。
 
 そこで何となくポケットに入っていた携帯端末取り出す。
 自分が持っていたものとは全然違うデザインのものだった。
 ボタンを押して画面を開いてみる。画面に表示されている時刻は二二時前。
 時計に並ぶように表示されている日付を見て絶句した。自分の目を疑う。
 
 その日付は自分が今日だと認識している日付から半年以上経過していたのだ。
 
 頭の中が混乱する。何度も画面を見る。日付がゲシュタルト崩壊する。
 だが、いくら考えても事実は変わらない。
 童話の浦島太郎の気持ちが今なら理解できるような気がした。
 
 携帯端末のボタンを押す。パスコードによるロックがかかっていた。
 四桁の番号を入力することで開くことが出来るシンプルなもの。
 自分がよく使っている数字を。誕生日でも何でも無い四桁の数字を入力してみた。
 
 開いた。
 
 やはり、この見覚えのない携帯端末は自分のものなのだろうか。
 そう思って電話帳を開いてみた。その瞬間、この携帯端末が自分のものではないことを確信する。
 
 電話帳は知らない人名で埋め尽くされていたからだ。
 それどころか自分のよく知っている仲間たちの名前が一つも載っていなかった。
 電話帳を眺めているとある名前を見つける。
 
 『一方通行(アクセラレータ)』。
 
 心臓が止まるかと思った。
 自分の前に立ちふさがった男。自分の身体の芯まで恐怖を植え付けた男。圧倒的なチカラで自分をねじ伏せた男。
 つい数時間前の記憶だ。鮮明に覚えている。
 あのときの記憶を思い出すだけでも、全身から嫌な汗がにじみ出た。携帯端末を持つ手が震える。
 
 これは一体どういう状況なんだ?
 そう思って手持ちの物を確認する。
 財布があった。中を見ると現金やポイントカードの他にある物を見つける。
 学生証。いわゆる学園都市のID。
 自分の顔写真が載っているがその自分は全然知らない学校の制服を着ていた。
 そのIDを読むと今自分は――高等学校の一年七組に所属しているらしい。
 霧ヶ丘女学院の二年生だったはずなのに何で一年生になっているんだ、と疑問に思ったがそれよりも気になる記述があった。
 
 能力名『座標移動(ムーブポイント)』。強度『超能力者(レベル5)』。
 
 
 


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