結標「私は結標淡希。記憶喪失です」
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678: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2021/12/26(日) 00:25:55.62 ID:Ud1c3PHRo


A子「――あらぁー、まさか同じホテルになっちゃってたなんてぇ、よほどの運命力が働いたとしか思えないわよねぇー」

上条「何言ってんだお前?」


 上条当麻は第一〇学区で出会ったA子と名乗る黒髪の少女と一緒に、とあるホテルの一室に来ていた。
 女の子と一緒にホテルなんていかがわしさマックスの文面だが、今のところそういった行為が行われたような跡はない。
 それは上条の体の至るところに新しい包帯が巻かれていたり、絆創膏貼られていたりしていて、手当を受けたばかりだということがわかるからだ。
 ルームサービスで頼んだバジルとトマトのスパゲティを食べながら、少女は問いかける。


A子「ところで怪我の方は大丈夫なのかしらぁ? 手当てっぽいことはしてみたのだけど、ちゃんと出来ているかよくわからないのよねぇ」


 同じくルームサービスで頼んだ牛丼を食べている上条が、視線を手足の包帯や絆創膏へ目を向けて答える。


上条「ああ。まあ痛くないって言ったら嘘になるけど多分大丈夫だろ」

A子「個人的にはさっさと病院行けって言いたいところだけどぉ、そんなところに行ったら即入院確定だからあえて言わないわね」


 彼女が言ったように上条の怪我の手当てをしたのは目の前にいる少女本人だ。
 昼頃に、ジャッジメントの少女による手際の良い応急処置を見たせいもあるだろうが、上条には包帯グルグル絆創膏ベタベタな処置が不器用なように見えた。
 見た目が悪くても患部をきちんと処置はされていたので、彼自身は特には気にしてはいなかったが。


上条「それで結標を助けるって言ってたけど何をするつもりなんだ? もしかしてこのホテルのどこかに結標がいるとかなのか?」

A子「いいえ、違うわぁ。たぶん結標さんは今頃別のホテルか、昔使ってた隠れ家とかに身を潜めているんじゃないかしらぁ?」

上条「じゃあ何で俺たちはこんなところにいるんだよ」

A子「それはここでゆっくり休んでアナタに体力を回復してもらうためよぉ」


へっ? と上条は素っ頓狂な声が出た。
そんな様子をニヤニヤしながら少女は続ける。


A子「だってぇ、見るからにアナタの身体ってボロボロで瀕死に近い状態じゃない? そんな状態で結標さんをどうにかしようなんて、いや、そもそも結標さんがいるところにたどり着けないかもしれないわよねぇ」

上条「……たしかにそうだな。正直、走るどころか歩くのもしんどい」

A子「それはそうよぉ。だってその左足の火傷、そんなの負ってたら普通歩けないと思うんですケドぉ。一応、火傷の塗り薬っぽいのぺたぺた塗ったけどそんなので痛みが治まるとは思わないしぃ」

上条「ははっ、これ以上言わないでくれ。意識したらめっちゃ痛く感じてきた……」


 この傷は先ほど櫻井通信機器開発所での一戦で負った傷だった。
 超能力者(レベル5)第四位を名乗るビームをバカスカ撃ってくる女。
 それだけならまだよかったのだが、素のパワーや体術も上条より圧倒的に上を行く化け物。
 何度も何度も死を予感した戦いだった。生き残れたのは正直奇跡だと思う。
 つかほんとよく五体満足で勝てたな、と上条は力なく笑った。


上条「俺が身体を休めて体力を回復しないといけないことはわかったけど、そのあとはどうするんだ?」

A子「そうねぇ、結標さんが現れそうな場所に行って会う。それだけよぉ」

上条「どこなんだよそれ」

A子「ヒ・ミ・ツ☆ 行ってからのお楽しみってことで♪」


 小悪魔的な感じに笑っている少女を見て、上条は嫌な予感しかしなかった。
 食べ終えた牛丼のドンブリの乗ったプレートを適当にテーブルの上に置いて、ふと思い立って携帯電話を開く。


上条「げっ、知らないうちに着信履歴がすごいことになってる……」





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