結標「私は結標淡希。記憶喪失です」
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677: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2021/12/26(日) 00:22:59.90 ID:Ud1c3PHRo


美琴(余計なことするなって煙たがられるかもしれない。けど、もし私があの馬鹿と同じことができるかもしれないなら)


 携帯電話を耳に当てる。すると、ある電子音声が流れてきた。
 『おかけになった電話は電波の届かない場所にいるか電源が入っていないためかかりません』。
 一方通行の携帯端末に電話を繋げることが出来ないことを表すアナウンスだった。


美琴「……ま、そうよね」


 美琴は疲れたように呟いた。
 そもそも彼は今何をしているのかはわからないのだ。
 暗部組織の連中と壮絶な戦いを繰り広げているのかもしれないし、どこかの研究施設やアジトに潜入しているのかもしれない。
 だから、携帯の電源を用心のため切っていても何もおかしくはない。


美琴「はぁ、もういいや。明日の朝くらいにでももう一回連絡入れてみるか」


 諦めた感じにため息をついて、美琴は携帯電話から目を離す。
 ガチャリ、と部屋からバルコニーに出るドアが開く音がした。


打ち止め「何やってるのお姉様? お風呂上がりにそんなところにいると風邪引いちゃうよ? ってミサカはミサカは予想外の夜風の冷たさに驚きつつ心配してみたり」


 パジャマを着た打ち止めが、アホ毛を揺らしながらドア越しにこちらを覗いていた。


美琴「あ、うん、ちょっと涼んでただけ。すぐ戻るわ」


 返事をして椅子から立ち上がる。
 バルコニーを少しだけ見渡してから部屋の中へと戻っていった。


美琴(……そういえばあの馬鹿はどうしているんだろうか)


 美琴はふと思い出した。結標淡希を追っているもう一人の少年上条当麻のことを。
 彼にはジャッジメント二人が後ろに付いている。おそらく無茶なことはしないだろう。


美琴「…………」


 いや、無茶なことをするだろうな、と美琴は心の中でため息をついた。
 彼が誰かを救うためなら、危険とかそういうのを顧みず突っ走ってしまう人間だということは、美琴自身がよくわかっている。
 言っても聞かない上条当麻に頭を悩ませている少女二人が容易に想像できた。

 だが、そんな上条のことを美琴は心配などしてはいなかった。
 違う。心配していないと言ったら嘘になるか。心配してもしょうがない、そう思っていた。
 どうせすぐに全部終わらせて、何食わぬ顔でまた自分の前に現れる。
 そんな確信めいたものを美琴は感じていた。

 と心の中ではそう思っている美琴だったが、どうやら体は正直らしい。
 携帯電話の発信履歴にずらりと並んだ『上条当麻』の文字を見て、美琴は苦笑いした。


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