結標「私は結標淡希。記憶喪失です」
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657: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2021/12/25(土) 23:33:33.52 ID:jaU2C2/Fo


 黒夜は言葉の意図を理解したのか、顔を強張らせた。
 一方通行は気にせず、傷口に塩を塗りたくるように、丁寧に説明を続けてやる。


一方通行「人間っつゥのは時間が経過すればそれだけ変化する生き物だ。肉体的な部分はもちろン、思考パターンもなァ?」

一方通行「それは俺だって当然例外じゃねェ。例えば半年前の俺と今の俺の思考パターンを比べりゃ、大きくズレが生じているだろォよ」

一方通行「木原の技術は俺の思考パターンを完全に把握することによって、初めて『反射』を破ることが出来る」

一方通行「あの男はリアルタイムで俺の思考パターンを分析することでそれを把握しやがる。だからこそ、ヤツには後出しで反射角を調整しても通用しねェ」


 言うことを言って一方通行は片膝立ちになっている黒夜の前に立ち、見下ろす。


一方通行「ここまで言えばあとはわかるだろォ? オマエは俺がオートの『反射』をすると思ってチカラを寸前で引き寄せた。だが実際俺が行ったのは手動のベクトル操作」

一方通行「この時点でオマエが持っている『木原数多』の思考データはただの糞だったってことになるわけだ。残念だったなクソガキ」


 吐き捨てるように言った一方通行。
 それに対して黒夜は犬歯をむき出しにして、憤怒の表情を浮かべながら、無傷の左手をかざした。


黒夜「見下してンじゃねェぞクソ野郎がァ!!」


 左掌から窒素の槍が噴出された。ターゲットは一方通行の額。
 無色透明の槍が一方通行の頭に突き刺さろうと伸びる。
 しかし槍は一方通行の皮膚には届かない。

 『反射』。

 ゴパァン!! 跳ね返った窒素の槍が黒夜の左腕を吹き飛ばした。


一方通行「無駄だっつってンのがわかンねェのか?」

黒夜「く、そが……」


 両腕という武器を失った黒夜は地面に倒れ込んだ。
 瞬間、一方通行は頬に痛みが走ったことに気付いた。
 痛みのあった部分に手を当てると、生ぬるい血液がベッタリと掌に付着した。


一方通行(……腐っても『木原数多』の技術か。完全に『反射』することが出来なかったっつゥことか)


 一方通行は頬の血を適当に拭い、血流のベクトルを操作して出血を無理やり止める。自分の未熟さに舌打ちした。
 そんな様子を見て部屋の奥の方に座っていた茶髪の少女が立ち上がり、こちらを向いて馬鹿笑いしながらパチパチと拍手する。


????「いいっひっひっひっひっひひひひぃっ!! あんなに自信満々だったのにクロにゃんダッサぁー!!」

一方通行「あン? 今度はオマエが――ッ!?」


 明るみに出た茶髪の少女の顔を見て一方通行は絶句する。
 とても見覚えのある顔だった。
 同じ家に居候してる同居人であり、守るべき存在である少女『打ち止め(ラストオーダー)』。
 もう絶対に誰一人殺さないと一方通行が決心した、『絶対能力進化計画(レベル6シフト)』で一万人以上殺した少女たち『妹達(シスターズ)』。
 彼女たちのオリジナルであり、彼女たちの姉である『御坂美琴』。
 その全ての少女たちの面影を残した目の前の女。彼女を見ながら一方通行は震える口を動かす。


一方通行「オマエ、妹達(シスターズ)、か?」

番外個体「正解ぃ!! ま、でもミサカは従来の製造ロットとは違う『第三次製造計画(サードシーズン)』の番外個体(ミサカワースト)だから、ちょびっと違うんだけどねー」





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