結標「私は結標淡希。記憶喪失です」
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634: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2021/12/18(土) 23:00:48.90 ID:loyT3wilo


 二つの考えを巡らせて選択をしようとする。そんな少女の頭を一瞬で真っ白にする出来事が起こった。

 ボゥン!! という轟音とともに櫻井通信機器開発所の施設が燃え上がる。


黒子「なっ……!? もしや自分たちがいたという痕跡を消すために建物へ放火を……!」


 目撃者はジャッジメントだろうと消そうとしている組織だ。
 建物ごと全てを消してしまうという判断を下しても何らおかしくはない。

 パリン、と建物の上階の窓ガラスが割れる音がした。黒子はその方向へ目を向ける。
 割れた窓枠から上半身を出して、必死に手を降っている男が見えた。
 耳を澄ませると「助けてくれ」という声が何度も聞こえてくる。

 黒子は耳に付けている携帯端末を操作し、初春飾利との回線をつなげる。


黒子「こちら白井。櫻井通信機器開発所で火災は発生しておりますの。至急、アンチスキルへ消防と救急の要請を」


 電話口から『了解しました』という初春の声を聞いてから端末のマイクを切る。


黒子(わたくしは風紀委員(ジャッジメント)ですの。目の前で助けを求めている人を放っておくわけにはいきませんわね)


 そもそも結標淡希はそう簡単に捕まるようなヤワなヤツではない。それは黒子自身がよくわかっていることだ。
 だからさっき通った車の中に彼女はいない。黒子はそういうことにして、目の前の問題へと注力する。


黒子(類人猿がもし建物内に侵入していたとすれば、彼はあの火の中ということになりますわね。ほんと世話の焼ける殿方ですの)


 黒子は太ももに巻いているホルダーに手を当てる。
 収められていた金属矢が数本、黒子の手の中へ転移した。


黒子(何をするにしても、あの厄介な男ども制圧しなければなりませんわね)


 拳銃を持ちながらジリジリとこちらへ距離を詰めてくる六人組。
 彼らに聞こえるよう黒子は声を張り上げる。


黒子「わたくしはこれからあの火事の現場へ人命救助を行います!! もし、それを邪魔しようとお思いなっているのでしたら――」


 物陰にいた黒子の姿が消える。
 ドゴッ、一番遠くの位置にいた男の後頭部へ黒子の両足裏が突き刺さった。
 その勢いに負け、男の体が地面に転がる。


黒子「――容赦はいたしませんので、ご注意くださいませ」


―――
――






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