599: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2021/12/12(日) 00:05:35.41 ID:BbOkgSCro
初春「ふぁー疲れましたー」
椅子の背もたれにぐったりともたれ掛かっている初春。
その様子を見て黒子は問いかける。
黒子「成功したみたいですわね?」
初春「完全勝利とは行きませんでしたけどねー。偽装ツールっぽいものは破壊できましたが、そのあとは反応が完全にロスト」
「物理的切断されちゃったから大したデータを抜き出すことも出来なかったので、個人的には負けですね負け」と悔しそうに初春はそう言う。
黒子からすれば偽装ツールを破壊しただけでも十分と感じるものだが、電子戦に対してのプライドの高さ伺える発言だった。
初春「抜いた情報もあまり役には立たなそうですね。位置情報を辿って現場に行ってもたぶんもうもぬけの殻だろうし、機材の型式番号とかから相手を追ってもどこかしらでルートが潰されてそうですし……おっ?」
奪った情報を眺めている初春の目が少し見開く。
初春「『スクール』? たぶんこれが相手さんの組織の名前か個人のコードネームですね」
黒子「ふん、『学校』ですの? 暗部組織などという相反する位置にいる者がそのような名前を名乗るなどとは、面白い皮肉ですわね」
鼻で笑っている黒子。
しかし、初春は何かを考えて込んでいるような表情をしていた。
黒子「どうかしましたの?」
初春「いえ、さっきのハッキングのときのことなんですが、何か妙だったんですよねー」
黒子「妙?」
初春「相手の動きですよ。たしかにこっちは一〇〇以上のダミーをバラ撒いたんですけど、私本人の攻撃にまったく興味を示さなかったんですよねー」
黒子「……それは単にダミーに引っかかったということではありませんの?」
初春「それはないですよー。あんなものに苦戦するようなヤツだったら、私が直々にこんな危険なことしませんってー」
あははは、と笑いながら初春はテーブルに置いてあるティーカップを手に取り、冷めた紅茶を口に含んだ。
初春「なんと言いますか、まるでもう一人凄腕のハッカーが侵入していて、そっちに意識が向けられていた、って感じなんですよねー」
黒子「そんなことがありえますの? 相手は暗部組織ですわ。そんな相手を特定して狙いを付け、ハッキングする奇特なハッカーなど他にいるとは思いませんが。しかも貴女と同タイミングで」
初春「まーあれですよ。悪い組織だから敵も多そうだし、敵対している組織の凄腕のハッカーさんと攻撃タイミングばっちり合っちゃったとか、そんな感じじゃないですか?」
初春はぐっ、と背伸びをしてから再びパソコンのディスプレイに目を向ける。
初春「さて、本来の仕事に戻らないと! 早く結標さんを見つけて上条さんに知らせなきゃ」
そう言って初春はキーボードを叩き、監視カメラ情報の収集を始めた。
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