結標「私は結標淡希。記憶喪失です」
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598: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2021/12/12(日) 00:03:41.99 ID:BbOkgSCro


 そう言うとディスプレイには大量の監視カメラの映像が映る。
 いや、映ったものは正確に言うと映像ではなかった。


誉望「なっ、なんだと!?」

垣根「あん? どうかしたかよ」


 驚きの表情を見せる誉望を見て、垣根も同じディスプレイを覗き込む。
 そこに映っていたのは監視カメラの映像ではなかった。
 真っ黒の背景に白い文字で『No entry』。
 それは監視カメラ側からの情報を閉鎖していることを表すものだった。


誉望「どういうことだ? 別のパソコンを使って監視カメラをハッキングしてブロックしているってことか? いや、そんなことするためなら全部監視カメラに直接有線で繋げるくらいしないと無理なはず」

垣根「チッ、よくわかんねえがとりあえず下部組織の連中に周辺を捜索させろ」

誉望「了解っス。下部組織へ――」


 誉望が指示を出す前に何か嫌な信号が彼の頭の中をよぎった。


誉望「がっ……!?」

垣根「今度はどうした?」

誉望「ば、馬鹿なッ……コンピューターの制御が、奪われた……?」


 ディスプレイには誉望の考えとはまったく違う動きをしているコンピューターが映った。
 なぜそれが考えとは違うとわかったのか。それは監視カメラ偽装ツールを完全削除しようとしているからだ。


垣根「……チッ」


 垣根は背中から三対の白い翼が現れる。
 その瞬間、部屋にある全てのサーバーや電子機器が木っ端微塵に破裂した。


誉望「なっ、べ、別に物理的に破壊なんてしなくても……」

垣根「制御を奪われたっつーことは完全にフリーになったってことだろうが。そんな状態を一秒でも許すってことはどれだけの情報が奪われるかなんてこと、わからねえわけじゃねえよな?」

誉望「す、スンマセン!!」

垣根「……まあ、いいや」


 面倒臭そうに頭を掻きながら垣根は続ける。


垣根「十分時間は稼げただろ。あとは時を待つだけってな」


 そう言って垣根は部屋の出口へ向かって歩き出した。
 こんな状況なのに、垣根の顔にうっすら喜びの表情なものを見たとき、誉望は背筋がゾッとしたのを感じた。

 部屋の出口の前にたどり着いたとき、垣根は振り返って誉望の方を見た。


垣根「そういやさっき電子戦は負けねえとか抜かしてたヤツがいたよな?」

誉望「うぐっ」

垣根「それに対して俺はミスったら処刑だぞとも言ったよな?」

誉望「ッ!!!?」


 誉望万化は体の中にある内臓が全部口から出てくるんじゃないかと思えるくらい、大量の吐瀉物を吐き散らかした。


―――
――






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