結標「私は結標淡希。記憶喪失です」
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597: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2021/12/12(日) 00:02:17.94 ID:BbOkgSCro


 スクールの隠れ家にある情報処理室。
 そこは窓のない部屋で、真ん中に椅子とディスプレイが一つずつポツンと置かれており、それを囲むように周囲にはたくさんの巨大な黒いサーバーが円形に設置されている。 
 その椅子に座っている少年、誉望万化の頭に装着している土星の輪のような特殊ゴーグルから伸びたケーブルが、全てのサーバーへと繋がれていた。


誉望「……ふん、予想通りこちらに侵入してきたな。じっくり料理してやりたいところだが、向こうもそれなりにやるようだしさっさと終わらせてやるとするか」


 誉望万化は念動能力(サイコキネシス)を持つ大能力(レベル4)の能力者。
 彼が今行っていることは念動力を応用した電子制御だ。
 つまり、スクールのコンピューターへ侵入してきたハッカーから、コンピューターを防衛する電子戦を行っていることになる。
 そんな彼をぼーっと眺める男がいた。


垣根「本当に大丈夫なんだよな? もしミスってデータ抜かれでもしてみろ? その時点で処刑だぞ処刑」


 誉望の席の前方にある二つのサーバーの間に置いてある白い箱状の物。その上に足を組んで座っている垣根は警告する。


誉望「問題ないっスよ。この俺が電子戦で、ましてやホームでの防衛戦に負けるわけないじゃないっスか」

垣根「そんないかにもな三下の負けゼリフ言ってんじゃねえよ」


 呆れながら垣根は続ける。


垣根「ったく、負けたりなんかしたら、何のために俺がこんな陰気臭せえ部屋に一緒に籠もってやったのかわからなくなるからな」


 そう言いながら垣根は自分の下にある白い箱を数回叩いた。
 その箱からは白いケーブルが伸びていて、部屋に備え付けられているサーバーのうち一つと繋がっていた。


誉望「垣根さんには感謝してるっスよ。それのおかげでこうやって敵をおびき寄せることが出来たんスからね」

垣根「当たり前だ。俺の未現物質(ダークマター)には常識が通用しねえんだからよ」


 この白い箱は垣根の能力未現物質によって作られたサーバーだ。
 中にはメンバーからもらった監視映像偽装ツールを真似して作ったプログラムがインストールしてある。
 これ単体では意味はないが、既存のツールと併用することによって偽装能力が向上するという物。
 これのおかげで相手ハッカーをおびき寄せることができたということだ。


誉望「おびき寄せさえすればこっちのもんスよ。スクールのサーバー内は俺の庭みたいなもんスからね。何か無駄にダミーを大量にバラ撒いているみたいスけど、そいつらの処理は秒で終わるんだよなぁ」


 消えていくダミーの信号を確認し、最後に残った動きの速い信号を確認した。


誉望「随分と活きの良い獲物じゃねえか。でもなあ」


 誉望がニヤリと笑みを見せる。


誉望「俺が全力でやればこんなヤツを補足して掌握するのに『一分』もいらないんだよ」


 誉望の目の前に置いているパソコンにある一文が浮かび上がった。
 『Complete』。侵入者を完全に補足し、捉えたという合図だった。


誉望「はい、終わりっと。これでコイツは何もできないし、逃げることも出来ない」

垣根「つーことはそのハッカーの情報を抜けたっつーことだよな? お前が言うにはスピード勝負のハッキングはどっかのサーバーを経由とかしてねーんだろ?」

誉望「問題ないっス。何なら今から情報開示して近くにいる下部組織の連中に襲わせてやりましょうか?」


 そう言うと誉望は能力を使い電子操作をする。するとディスプレイに侵入者のパーソナルデータが出てきた。
 そこに出てきた位置情報を誉望は読み上げる。


誉望「ハッカーの居場所は……第七学区ふれあい広場近くにある公衆電話っスね」

垣根「ほう。そんな場所からお前とやり合えるなんて相当のやり手だな」

誉望「そうっスね。せっかくだしどんなヤツか一度顔でも拝んでやりましょうか。周辺の監視カメラの映像をハッキングします」





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