結標「私は結標淡希。記憶喪失です」
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559: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2021/12/04(土) 23:30:11.58 ID:WGxiRQYAo


 あまりに斜め上過ぎる言葉を聞いて戸惑いながらも、上条は携帯電話を出した。
 こちらが番号になりますんで、と初春が番号の書かれたメモ用紙を差し出す。
  

黒子「……もしかして貴女、たかだか迷子の捜索程度で監視カメラ情報の取得をしようと考えておりますの?」


 ジトーっと見ていた黒子が呆れたように尋ねる。
 それに反論するように初春が、
 

初春「たかだかとはなんですか! 迷子の捜索だって立派なジャッジメントの職務です!」


 鼻息を荒くする。
 まあたしかにそうだが、と黒子も思っているのかそれに対しては言及しない。
 だが、

黒子「そんなことでアンチスキルが監視カメラの情報を提供するとお思いですの?」


 基本的に監視カメラの情報を管理しているのはアンチスキルだ。情報取得の許可を得るためには、様々な工程を経なければならない。
 迷子の場合ならいなくなった地域や日時などを、その工程の中で報告する。
 そのため、例えばアンチスキル側がそれを元に、何日の何時から何時の第七学区の一部分だけの監視カメラ情報だけ許可する、となればその一部分しか情報を得ることができなくなる。
 今回の場合は結標淡希がどこにいるのか皆目検討も付かないので、その程度の情報では役に立たない可能性が高い。
 逆に地域や日時がわからないと報告すれば、行方不明者となりアンチスキルの管轄になってしまうかもしれない。
 
 そんな事情があることは初春も知っている。知っているからこそ初春は言う。
 
 
初春「大丈夫です白井さん。ちょちょっとハッキングして情報をいただければ問題ありません」

黒子「……言うと思いましたの」


 黒子がげんなりとする。
 

黒子「というか最初からハッキングするつもりなら、わざわざ迷子の捜索などという名目を立てる必要ないんじゃありませんの?」

初春「何言っているんですか白井さん。私的な目的のためにハッキングするのは完全なコソドロですけど、ジャッジメントとしての使命を果たすためハッキングするのは『それならしょうがないかー』ってなりますよね?」

黒子「んなわけねえですの。五十歩百歩ですわ。どちらにしろバレたらただじゃ済みませんわよ?」

初春「平気ですよ。だって私、そんなバレるなんてヘマしませんので!」


 ニコッ、と笑う初春飾利。
 その笑顔の奥に何か黒いオーラのようなものが見えるのは絶対に気のせいじゃない。


上条「……す、すげえな御坂。お前の友達」

美琴「え、ええ、ほんとそう思うわ」


 二人が初春飾利に圧倒されているとき、美琴の持つ携帯電話から着信音が鳴り響いた。
 それに気付いた美琴はポケットから携帯電話を取り出し、ディスプレイを見る。

 『佐天涙子』。


美琴「あっ、そういえばお昼にファミレス行くんだった……」

黒子「いってらっしゃいませお姉様。わたくしたちは外食するほどの時間が取れなさそうですので」

美琴「そう。わかったわ」


 そう返事をして、美琴は電話を通話モードにしながら、部屋の外へ駆け出した。


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