560: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2021/12/04(土) 23:30:54.55 ID:WGxiRQYAo
一方通行が目的地である日高新薬研究センターにたどり着いて三〇分ほど経過していた。
ずっと様子をうかがってはいたが、関係者と思われる人や車が何回か出入りしただけでとくに異変のようなものは見つからなかった。
一方通行(三択を外しやがったか……)
一方通行の中に焦りのようなものが渦巻いていた。
だが、この程度のことで動じていては彼女にたどり着くことは出来ない。
そう考え、一方通行は携帯端末を手に持った。
一方通行(外した、っつゥ判断をするのはまだ早ェか。状況が状況だからアイツもほとぼりが冷めるまで襲撃を控えたっつゥ可能性もある)
この短時間で二箇所の研究施設が襲撃されている。
そのため街中はたくさんのアンチスキルやその車輌、警備ロボ等がせわしなく動き回っていた。
こんな状況で好き放題動くのは至難の業だ。
一方通行(ニュースやSNS上にも六箇所目の襲撃情報は上がってねェ、てことはそォいうことだと思ってイイだろう)
一方通行(ま、それはアイツがまだ求めている情報を手に入れてねェっつゥ、楽観的な状況である前提だ)
一方通行(もし逆の状況にあったなら、俺はもォヤツを追うための最大のチャンスを逃した、つまり完全な敗北ってことになる)
一方通行(そォじゃねェこと神に祈るだけだな……ケッ、似合わねェなクソッタレ)
一方通行はため息を付いた。そのとき、ふと近くに自動販売機があることに気がつく。
コーヒーでも飲むか、そう思い自動販売機の元へと足を進める。
一方通行(しかし、考えるべきはこれからどォするかだ。このままここに待機するか、それとも監視場所を別に移すか)
一方通行(待機の場合他の場所を襲撃されたときに対応できず、別に移した場合入れ違いでここを狙われてしまえば対応できねェ)
一方通行(どっちも可能性がある以上、どっちが正解なンかわかりゃしねェ)
決断を迫られている一方通行だったが、彼には他にも気になる点があった。
一方通行(街ン中駆け回っているときに感じたあの気分の悪りィ感覚、やっぱりあのクソ野郎どもも動いているっつゥことだな)
学園都市の暗部組織。この街の裏の世界を暗躍する者たち。
一方通行は今まで何回かその者たちと接触したことがある。
そのときに感じた肌にまとわりつくような嫌な感覚、それと似たようなものを彼は感じていた。
一方通行(とにかく、俺に遊ンでいる時間なンざ残されていねェっつゥわけだ)
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