527: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2021/12/04(土) 22:45:59.55 ID:WGxiRQYAo
打ち止め「ミサカは牛乳を飲んでいるんだ! 早く大きくなりたいから、ってミサカはミサカはマグカップを片手に願望を口走ってみたり」
美琴「もう二、三年すれば私くらいの大きさにはなっているわよ」
打ち止め「うーん、ミサカはもうちょっと大きくなりたいなぁ、ってミサカはミサカは意味深なことをつぶやいてみたり」
美琴「うふふ、それはどういう意味かな打ち止めちゃん?」
視線を顔から三〇センチほど下に落としやがった打ち止めを見ながら、美琴は引きつった笑顔を浮かべていた。
そんな彼女の目の前のテーブルにティーカップが置かれた。
??「はい、紅茶よ。と言ってもインスタントの安物だからお嬢様には物足りないかしら?」
美琴「い、いえ全然大丈夫です。ありがとうございます。えっと、黄泉川さん?」
芳川「ああ違うわ。私の名前は芳川桔梗よ。その子と同じここに住む居候の一人。家主の黄泉川愛穂は仕事で今いないわ」
美琴「あっ、ご、ごめんなさい!」
芳川「いいのよ。勘違いは誰にでもあるわ」
慌てふためく少女を見て芳川はくすりと笑みをこぼした。
コーヒーを一口飲み、芳川は話し始める。
芳川「その子から大体の経緯は聞いたわ。ウチの同居人たちの問題に巻き込んじゃって申し訳ないわね」
美琴「そんな。謝ることようなことじゃないですよ。私が好きでやってることですから」
芳川「ふふっ、ありがとうね。けど、こうやって子どもたちが大変なことになっているときに、大人として何もできない自分が悲しくなってくるわね」
美琴「…………」
そんなことないですよ、そう言おうと思った美琴だったが、そんな適当なことを言っていいのか? そんな身勝手なことを言っていいのか?
そういった考えが頭の中で交錯して言葉を飲み込んだ。
芳川「同じ大人でも愛穂はどうにかしようと頑張っているわ。けどたぶん、今回の問題に関してはおそらく空回りしそうね」
美琴「愛穂さん、って黄泉川さんのことですよね? どういう人なんですか?」
打ち止め「ヨミカワはアンチスキルなんだよ、ってミサカはミサカは説明してみる」
美琴「アンチスキル? 黄泉川さん、アンチスキル、……もしかして」
美琴の中には黄泉川という名前のアンチスキルに心当たりがあった。
美琴は過去結構な数の事件に首を突っ込んでいるような少女だ。
その中でアンチスキルに助けてもらう機会があったが、そのときに主で動いてくれた女性。
よく会ったり喋ったりしたから、なんとなく顔見知りみたいな感じになっていた。
芳川「思い当たるような人がいるみたいね。たぶん、その人で合っているわよ」
美琴「ここ、あのアンチスキルの人の部屋だったんですね」
改めて部屋をキョロキョロ見渡している美琴を無視して芳川は話を続ける。
芳川「アンチスキルはあくまで表の世界の治安維持をしている組織。何かしらの裏の敵対組織を相手にしようとするなら、その敵対組織を表に引きずり出さないといけない」
芳川「けど、今あの子たちが関わっている件はおそらく学園都市の深い闇の部分。一介のアンチスキルが動いたところで、どうにかできるようなものではないわ」
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